巨人高橋由伸監督(40)は2日、ヤンキースのGM付き特別アドバイザーを務める松井秀喜氏(41)が、米国で「カバン持ち以外ならやりますよ」と全面協力を約束したことに感激。来年2月の宮崎キャンプ訪問の要請を検討すると明かした。松井氏が3年連続で宮崎入りをする可能性は極めて高い。現役時代に巨人を支えてきた両雄が、来春には“指導者”として、強力コンビを組むことになりそうだ。

 高橋新監督誕生に、ゴジラが胸を躍らせていた。米国で野球教室に参加した松井氏は、かわいい後輩の話題に口元を緩めた。「チームメートだったし、プライベートでは友人。頑張ってほしいと思いますし、一OBとしても応援してます。彼の思うような監督、チームになってほしいですね」とエールを送った。関心があるどころじゃない。「カバン持ち以外ならやりますよ!」と、全面的なサポートを約束した。

 海の向こうから届いたメッセージに、高橋監督も「ありがたいお言葉です」と声を弾ませた。信頼する先輩からの厚意。「松井さんのタイミングもある。もし来ていただけるのであれば…」と丁寧に前置きした。「選手の刺激にもなりますし、ファンも喜ぶと思う。カバン持ちも含めて、依頼を検討したい」と笑顔でジョークのキャッチボール。来春キャンプの訪問を要請する考えを示した。

 強い信頼関係で結ばれている。1学年下の高橋監督は松井氏がメジャー挑戦するまでの5年間、両輪となって巨人をけん引した。長距離砲の松井氏と高い技術を駆使した高橋監督はタイプこそ違えど、常勝の責務を背負い、ともに戦った絆もある。監督就任を決めた時は、会見前に国際電話で報告。「何でも協力する。頑張って」との言葉で、監督業にまい進する覚悟を後押ししてもらった。頼れる兄貴分の訪問ほど、新監督にとって心強いものはない。現役時代の両選手を指導した内田打撃コーチも「ビッグな2人。言葉の重みが違う。たくさんバットを振ってきた選手だし、いいんじゃないかな」と、夢タッグ実現が選手に多大な好影響をもたらすと期待した。

 年末に松井氏が帰国した際に話を詰めることになるが、3年連続の春季キャンプ訪問が実現する可能性は極めて高い。14年は臨時コーチとしてフリー打撃で世界レベルのスイングを伝え、今年は新主将坂本や岡本らに声を掛けた。チームは今季2位に終わり、リーグ4連覇を逃した。打撃強化が命題なだけに、松井氏がひと肌脱ぎ、再びフリー打撃を実演する可能性もあるだろう。来春、高橋監督は巨人再建への「情熱」を詰め込んだ“カバン”を心優しいゴジラに託し、一緒になって強化に尽力する。【浜本卓也】

<松井氏と春季キャンプ>

 ◆14年 臨時コーチとして、2月1日から13日までチームに帯同し、寝食を共にした。打撃投手を積極的に務め、宮国ら若手投手がブルペン入りすると打席に立つなど1、2軍の枠を超えて動き回った。10日にはランチタイム特打を披露し、22スイングで5本の柵越え。全選手を前に講話も行い、濃密な日々を過ごした。

 ◆15年 2月3、4日の2日間、視察目的で宮崎を来訪した。14年とは違いスーツ姿で、球団が用意したジャンパーをはおった。2軍のひむか球場でルーキー岡本の打撃をチェック。緊張する岡本を優しく握手で迎えた。14年に重点指導した大田のフリー打撃を凝視する場面も。