工藤野球を肌で知る男が「腹心」として加わった。ソフトバンク関川浩一1軍野手総合巡回コーチ(46)が11日、秋季キャンプ地の宮崎で入団会見を行った。「2、3軍のコーチとしっかり話をして、監督の意向を伝えたい。手足、頭になれるぐらい努力していきたい」。新設されたポストで、1軍をベースに、ファームとのパイプ役を務める。作戦面でも工藤監督をサポートする予定で、シーズン中のベンチ入りも検討している。

 99年の日本シリーズからの縁だった。中日の1番打者として絶頂期にあったが、初戦でダイエー工藤に4打数無安打に抑えられた。完璧に攻略されたことで打撃が崩れ、不振のままに終わった。「自信はあったが、軽く鼻を折られた。一流との差を気づかされ、僕にとっての分岐点になった。野球は常に変化する。満足していけない」。この対戦をきっかけに、野球談議を交わす間柄になった。

 工藤監督も楽天、阪神などで培ったコーチ経験を期待した。「戦略や作戦もやったことがある。試合に役立つデータを出して、スコアラーと話してもらう。セキしか見えない選手の良いところもあるだろう」。この日はさっそくジャージー姿で練習を視察。コーチ陣とも精力的に対話した。

 2年目を迎える工藤政権は投打で巡回コーチを配置。3軍制で大所帯のチームの意思統一を図り、3連覇への足場を固める。【田口真一郎】

 ◆99年日本シリーズ中日関川VSダイエー工藤 関川は公式戦でセ・リーグ2位の打率3割3分をたたき出し、自身初の日本シリーズに出場。第1戦(福岡ドーム)で1番打者として出場したが、捕手城島と徹底研究した先発工藤に4打数無安打に封じられた。これで打撃を崩された関川は、絶不調に突入。連続19打席ノーヒットと落ち込んだ。第5戦にようやく2安打したものの、時既に遅し。中日は1勝4敗で敗退した。