阪神金本知憲監督(47)が就任後、初めての球団納会で異例のあいさつを行った。球団、選手、全員を前に壇上に上がった指揮官はこう切り出した。

 「秋季キャンプから若手中心に見ていますが、レギュラーを取ってやろうという雰囲気を非常に感じています。しかし、僕はまだまだ、もの足りていません。ベテランの人。若手に負けないように」

 まずは若手、ベテランの両方に刺激を与えたところで、さらに突っ込んだ。

 「ポジションは今からコーチと話し合って決めますが、鳥谷、福留、ゴメス。投手は藤浪、メッセ、能見、岩田、福原、それ以外は全部空いています。ガツガツ取りにきてください!」

 見つめる選手たちの表情にみなぎるものがあった。単に若手へのハッパだけではない。金本監督の言葉にはチームの中心となるべき男たちの胸に訴えかけるものがあった。

 「言って、信頼に応えてくれるからこそ、そこで責任を感じてくれる選手だからこそ言ったんだから」

 自身も03年オフ、岡田新監督に4番だと名指しされ打撃を変えた。19本だった本塁打を34本に増やした。一流の男にとって信頼が何よりの力になることを知っている。信頼され、応える-。責任を背負ってきた人にしかわからない大事なものを言葉に込めていた。【鈴木忠平】