阪神は11月30日、2年契約を終えて残留交渉中の呉昇桓投手(33)を保留選手名簿から外したことを発表した。この日がNPBへの提出期限だったが、交渉がまとまらなかったための措置。今後も粘り強く交渉するが、長期化する可能性が出てきた。

 高野球団本部長は西宮市内の球団事務所で「契約合意していませんので、相手方と相談して、いったん保留者名簿から外すということ。契約交渉は続けていきます」と説明した。保留選手名簿に記載されれば、国内外の他球団と交渉できない野球協約の条文がある。呉昇桓は今回の手続きでフリーエージェントの身分となり、阪神は引き続き、引き留める。

 同本部長は「去年、おととしも細部のことに代理人が入られます。常に時間を要します。契約に関して慎重にされる」と話す。呉昇桓はかねて米大リーグを希望するが、来年34歳。実質的にはラストチャンスだろう。12月上旬には大リーグのウインターミーティングが行われ、大物FA選手から進路が決まっていく。呉昇桓も、阪神と米球団のオファーから最善の道を選ぶとみられる。

 韓国・サムスンで同僚だった元ヤクルトの林昌勇がマカオで不法賭博を行った疑いでこの日、サムスンから放出された。呉昇桓との関連について、同本部長は「代理人から賭博に対する行為はないと聞いている」と明かす。阪神は継続的に絶対的守護神を慰留していく。

 ◆保留選手名簿 球団は毎年11月30日以前にコミッショナーに次年度選手契約締結の権利を保留する選手を全保留選手名簿として提出する。名簿は12月2日に公示。記載された選手は外国のいかなる球団をも含め、他の球団と選手契約に関する交渉を行うことが禁止される。記載されない選手は12月2日に自由契約選手として公示される。