中日大野雄大投手(27)が伝説級のタフ腕を目指して1歩を踏み出す。3日、大阪市内で選手会総会に参加した左腕は、1月上旬から行う初の米国自主トレの場所をアリゾナ州の施設「フィッシャー・スポーツ」に決めたことを明かした。メジャー通算303勝のランディ・ジョンソンや、実働29年の工藤公康(現ソフトバンク監督)も通ったことで知られる。強化と治療の最先端を誇る施設で、息の長い大投手になるためのノウハウを吸収する。

 大野が自主トレ場所に選定したのは“レジェンド施設”だった。「フィッシャー」は野球とアメフットを中心に、あらゆる年代のアスリートに肉体強化プランを提供している。さらに、特徴的な部分のマッサージやリハビリなど故障者へのケア部門において、医学的見地でのサポートも受けられ、世界的にも高い評価を得ている。

 メジャーでは46歳まで投げて通算303勝を挙げたランディ・ジョンソンが通い、日本球界でも実働29年の鉄腕・工藤公康(現ソフトバンク監督)が足を運んでいた。両左腕はともに肩に故障を抱えながら40歳を超えても活躍した共通点がある。

 同じく左腕の大野も佛教大4年時に肩を痛めている。プロ入り後は我慢の日々が続いたが、ここ3年連続2桁勝利中と左肩の不安は完全に払拭(ふっしょく)。さらに今年は12球団最多の207回1/3を投げ、6完投も同2位。11月に入っても侍ジャパンで活躍し、タフさに磨きがかかっている。

 一方で、プロ入り以来、最も肩を酷使したシーズンであることも事実。中盤以降は息切れして勝ち星が伸びなかった。ケアはもちろん、故障しにくい体を作り上げることをこのオフのテーマとしている。「日本代表でいろいろな人と話して、自分も変わらないといけないと思った」とアリゾナ修行を決めた。

 同施設は以前にテレビで見たことがあり「いい施設があると聞いていた。知識を学んでこられたら」。一流施設、一流アスリートと接して、どん欲に吸収するつもりでいる。今回はウエートトレ、体幹強化を主眼に置く。綿密にプログラミングされたメニューを連日こなすため、かなりハードになりそうだ。

 来季8年目の伊藤をともなって、2人で年明けから1週間ほど滞在する。新選手会長にもなり、名実ともにチームの大黒柱になる。さらにその先のキャリアアップを目指し、レジェンド道を歩み出す。【柏原誠】