広島前田健太投手(27)にメジャーへの道が開けた。ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を4日、球団サイドが許可した。

 広島鈴木清明球団本部長(61)がマツダスタジアムで取材に応じ「前田健太投手の今年の活躍、貢献、選手の状況、来年以降のポスティングシステムの環境。ファンのみなさんの思い、すべて総合的に検討しました。その結果、今年、ポスティングシステムでメジャー挑戦を試みることが前田健太投手にも、球団にとっても、一番いいタイミングと判断しました。これからポスティングシステムの準備を進めていきます」と明かした。本人にも前日3日に、電話で伝えた。

 球団は今後、本格的に手続きへと入る。早ければ来週中にも日本野球機構(NPB)に申請。譲渡金(上限2000万ドル=約24億円)を設定し、その額を支払う意思があるすべての米球団が選手と30日間交渉できることになる。鈴木球団本部長は譲渡金については現時点で明かすことはなかった。この日までにダイヤモンドバックスなど複数球団が前田に強い興味を示しており、争奪戦になるのは確実な状況だ。

 3年越しの夢がかなう。前田は13年オフに初めてメジャー移籍希望を公言。昨オフは機運の高まりに欠けることから認められなかった。だが今季は15勝を挙げて沢村賞も獲得するなど奮闘。エースとしての立ち居振る舞いも評価された。ファンからも肯定的な意見が多く球団も「機運」の高まりを感じていた。慎重に検討を重ねた結果、希望をかなえる形となった。

 前田は11月24日にあらためて球団へ挑戦を直訴。「大リーグに挑戦したいという自分の気持ちを伝えました。年々、思いは強くなっている」と話していた。さらに「全員が全員、挑戦できるものではないと思います。自分が行ける可能性があるなら行ってみたい」と話していた。熱意は球団に届く形となった。

 前田はすでに許可が出た場合に備え、準備も進めている。ダルビッシュ(レンジャーズ)や岩隈(マリナーズFA)らと同じ大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」に代理人を依頼。敏腕代理人と言われるカッツ氏らが担当する運びとなっている。

 「マエケン」から「MAEKEN」へ。今後の動向により一層の注目が集まる。