火の玉ストレート継承や! 阪神松田遼馬投手(21)が来年1月に沖縄で実施される藤川球児投手(35)の自主トレに初めて参加する。13日、兵庫・淡路佐野運動公園野球場で野球教室に参加。熱望していた“球児塾”の入塾を許可されたことを明かした。勝利の方程式入りへ、飛躍が期待される来季5年目の右腕が、球児から飛躍のきっかけをつかむ。

 松田の情熱が球児のハートに届いた。合同自主トレを願い出て、門をたたいたのはもちろん「球児塾」だ。藤川の沖縄自主トレといえば、筒井、鶴ら少人数で実施し、みっちりと鍛え上げることで有名。そこに妥協はない。松田は参加を申し出た理由を熱っぽく語った。

 「見て勉強になることもたくさんある。絶対にプラスになる。僕たちはバッターを抑えることが仕事。バッターが打ちにくいストレート、打ちにくいフォームというのを求めていきたい」

 すでに「入門編」は終えている。今月9日には鳴尾浜球場で藤川のトレーニングに志願して初参加。直径約30センチのフライングディスクを使った練習で汗を流した。11日にも藤川と室内でバスケットトレを実施。「違うスポーツをやるにしてもこういう動きは、野球でこう役立つと説明してもらえる」と、球児流の練習に大きな刺激を受けた。

 松田と藤川をダブらせる虎党は少なくない。ともに高卒からプロ入りした本格派右腕。度胸満点のマウンドさばきと威力のある直球は、確かに重なる部分はある。藤川は入団7年目の05年に80試合に登板し、大ブレーク。来季5年目を迎える松田があの直球を身につければ…。そんな期待は自然と膨らむ。

 「誰がいる、いないとか関係ない。自分をしっかりアピールしたい。若いんでしっかりアピールしてポジションを取っていきたい」

 2年連続セーブ王・呉昇桓退団について問われた松田はすぐさまそう言った。憧れだった藤川との合同自主トレだが浮かれた様子はみじんもない。火の玉ストレートの使い手になる-。球児のエキスを吸って大きく成長する。【桝井聡】