今季限りで退任した前阪神監督の和田豊オーナー付シニア・アドバイザー(SA=53)が、カンテレ「胸いっぱいサミット!大晦日2時間SP」(31日午後1時55分=関西ローカル)に出演。監督退任後、初めてのテレビ出演となった。

 番組では、バッティングセンターにも行き、エース・藤浪晋太郎の映像マシンもあった。藤浪“投手”と対戦した和田SAは、快打を連発。番組スタッフによれば「120キロ台の直球を気持ちよく打ち返していた」そうで、なんと、マシン相手に得意のバントも披露したそうだ。

 汗を流した後は、84年ドラフトで3位指名され入団してから、コーチ、監督と31年に及んだユニホーム生活を振り返った。

 和田SAは「一言で言うと悔しさ」と表現。新人イヤーに球団初の日本一を経験したものの、その後、長くチームは低迷が続いた。

 12年から4シーズン、監督として指揮をとったが、リーグ制覇はならず「悔しさばかりが印象に残っている」。それでも、ただひとつ、喜びをあげるとすれば「14年のCS、東京ドームで巨人に4連勝したこと。あの4試合は自分の思い通りに試合ができた」と振り返った。

 14年は、例年苦しむ9月に失速したものの2年連続2位フィニッシュ。クライマックスシリーズのファイナルステージでは、優勝した巨人に敵地で4連勝し、日本シリーズ進出を決めた。

 ただ、シーズンで見れば、今季も終盤に失速し、美酒を味わうことはなかった。毎年、繰り返されたペナント終盤での失速には「9月に入ると、急にベンチに人がいないみたいな感じになる。使い果たしてしまったような…」と話した。

 悔しさばかりが思い起こされるタテジマ31年だった様子。一方で、ベンチで無表情だったことには「小さいころから剣道をやっていて、『表情に出すな』という教えのもとで育ったので、あえてそうしようとしていた」とも。険しい表情の指揮官の姿は、剣道の教えに基づいて、意識して作られていた表情だった。

 今回の出演は、番組レギュラーで、和田SAの入団時から親交があるタレント遙洋子とのつながりもあって実現。遙は宝塚歌劇ファンとしても知られ、和田SAも夫人、娘らが熱心な宝塚ファン。監督退任後は、和田SA自身も歌劇鑑賞に行ったという。

 「(トップスターら主力ではなく)端の方ばかり見てしまった。端の人も手を抜かない。そういう人たちがちょこっと動くことでの相乗効果があって、チームもそうあるべき。自分が選手時代そういう(端っこ的な)立場だったので、気になったのかも」

 歌劇鑑賞しながらもチームの組織論を考え、単打を重ねてチームに貢献した自らのプレースタイルを重ねるなど、“らしい”生真面目さを見せていた。