アイム、リトル長野!? 中日ドラフト5位のホンダ・阿部寿樹内野手(26)が1軍切符をつかんだ。21日、キャンプの1、2軍振り分けが選手に伝えられ、新人選手は腰痛の6位石岡以外の5人が1軍スタートになった。

 長く持ったバットを揺らし、懐の深い構えから右へ鋭い打球を飛ばす。その姿はホンダの先輩、巨人長野にだぶる。「やっていくうちにしっくりきたので、この打ち方でやっています。長野さんほど長打は打てないけど、しぶとい打撃で勝負したいです」。オールドルーキーらしく落ち着いた様子で話した。

 自慢の「右打ち」で勝負する。打撃練習から体が開くクセを矯正する意味も込めて、打球はほぼすべて右方向。「苦ではないです。いろいろな人の右打ちを見て、とにかく数をこなしてきた」と胸を張る。中日では黄金時代を支えた井端(現巨人コーチ)の右打ちが有名。状況に応じた打撃ができる阿部も重宝されるかもしれない。

 スタッフ会議後の首脳陣の発言では新人の1軍は4人とみられたが、5位の阿部も入っていた。「ここからだと思う。すごい選手もいるのでしっかり見たり聞いたりして、うまくなりたい」。ハンドワーク、スローイングと遊撃の守備は一級品。遠藤、エルナンデスが先を行く遊撃争いに1年目の“職人”が名乗りを上げる。【柏原誠】

 ◆阿部寿樹(あべ・としき)1989年(平元)12月3日、岩手・一関市出身。一関一では3年春の東北大会で優勝。最後の夏は花巻東に3回戦で敗れた。明大では広島野村と同期で1年春からベンチ入り。6大学リーグ通算64試合で打率2割6分3厘。ホンダでの4年間で都市対抗、日本選手権に各4度すべて出場。昨年で引退した和田の背番号5を受け継ぐ。185センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、兄、祖父。

 ◆中日の遊撃争い 昨季138試合に出たエルナンデスがいるが、将来性を含め2年目の遠藤が最右翼になりそう。昨季41試合出場で長打も打て、走れる遠藤は首脳陣も高く評価。スローイングに課題が残る。二塁レギュラー候補の亀沢や堂上、三ツ俣らが続く。