俺を見てください! 楽天ドラフト1位のオコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が1月31日、1軍キャンプ地の沖縄・久米島へ到着した。初のプロのキャンプに緊張しつつも、初日から存在を猛アピールしていくと誓った。7日に予定されている初の紅白戦では、早くも直球狙いを宣言。正々堂々、朗らかに-。昨夏甲子園を沸かした「オコエ劇場」は、今日1日のキャンプインから、舞台をプロに移し、スタートする。

 己を、貫いてみせる。先輩選手との共同生活を行う1軍宿舎に入っても、オコエは堂々と胸を張った。

 「新人なので、控えるところは控えます。だけど1日を通して存在感がないようじゃダメ。練習でも生活でも、どんな場面でも元気を出して『俺はここにいるぞ』と伝えたいです」

 待ちに待った、人生初のプロ野球1軍キャンプが始まる。全てが初めてで、不安を挙げればきりがない。仙台からのチャーター便では、3人掛け席の両隣を先輩の哲朗と下妻に挟まれた。「緊張して、一言もしゃべれませんでした…」。両サイドの肘掛けには1度も触れることができず、機内では約4時間、小さくなって過ごした。「ヘッドホンで睡眠用のBGMをかけても、20分で起きちゃいました…」。チーム全体での移動は今回が初。18歳にとっては無理もなかった。

 今はただ、自分ができることに全力で取り組む。「気合MAXです。技術どうこうのよりも、まずは元気を一番出してアピールしたい」。弱肉強食のプロの世界で、誰よりも活躍したいという思いがある。同地域の沖縄・石垣島で過ごすロッテ平沢とは、野球が復活した場合の東京五輪代表を誓い合った仲。「お互いに頑張ろうと話をしたライバル。負けないようにやります」。この久米島で過ごす日々が、未来への土台となることを知っている。

 全ての場面で「俺」を表現する。キャンプイン直前、松井裕に紹介された仙台の美容院で髪を切った。頭頂部を残してサイドと後頭部をV字に刈り上げた、オリジナルヘア。「名前を付けるなら『オレ流ヘア』ですね。本当は、くせ毛なのでこの髪形しかできないだけなんですけど」と笑った。2年目の福田と過ごす部屋には、硬さを調整したオーダーメードのマットレスを持参。後は1日のキャンプ初日から猛アピールを続けるだけだ。

 侍ジャパンの小久保監督も視察に訪れる7日には、紅白戦での実戦デビューが予定されている。「プロの変化球は打てないと思うので、真っすぐを狙ってフルスイングします」と即答した。どこに行っても自分らしく。今は全力で「オコエTHEアピール」の日々を過ごす。【松本岳志】

<楽天主な高卒新人の1月31日>

 ◆07年田中 午前中に駒大苫小牧で試験を受けた後、北海道から那覇まで約2300キロの大移動。久米島へは翌日1日に入る。日本列島縦断した那覇空港で「1つでも多くのものを得られるように頑張りたい。先輩の姿を見て吸収できるところは吸収していきたい」と話す。

 ◆14年松井裕 新人で唯一1軍スタート。前年新人王則本と同部屋になり「1年目にあれだけ活躍した方。生活面や寮での過ごし方、技術面を聞きたい」と弟子入りを志願。星野監督からは会話を多くし、コミュニケーションを深めることを説かれた。

 ◆15年安楽 1月末の卒業テストのため仙台を離れ地元愛媛・松山に滞在。前日1月30日に仙台へ戻るはずだったが、大雪のため伊丹-仙台便が欠航。大阪で1泊し、伊丹空港から久米島入りした。「まだ知らない先輩がいっぱいいる。他の新人は(空港で)あいさつしているのに。1歩リードされた」と悔しがった。