ただただ、残念-。巨人高橋由伸監督(40)と松井秀喜臨時コーチ(41)が3日、かつての僚友だった清原和博容疑者(48)の逮捕に沈痛な表情を見せた。3人はクリーンアップとして一時代をともに戦った。春季キャンプ中に飛び込んできた衝撃的な一報に、指導者として肩を並べる2人は言葉少なだった。

 一緒に戦った先輩であり、戦友が、薬に侵されていた。重苦しい事実に対する思いを一夜明けて、高橋監督は慎重に言葉を選びながら語った。

 高橋監督 詳しい話が分かっていないので、あまり言うことがない。でも選手として一緒にやっていたのでビックリしましたし、寂しいというか残念というか。今はそれぐらいしかお話できない。

 松井臨時コーチも同じ心境だった。清原容疑者の質問を受け「う~ん」と8秒ほど、次の言葉を接着できなかった。「ただ驚いたとしか言いようがない。それしかないです」。最後に会ったのは10年のエンゼルス時代のアリゾナ春季キャンプに激励に訪れた時。なぜ-。感想が続くはずもなかった。

 3人はMKT砲として98~02年の5年間で共闘した。クリーンアップは計227試合結成。互いの関係はほどよい緊張感で保たれていた。「清原軍団」と呼ばれ、自らを慕う後輩を束ねた先輩に対し、松井コーチは孤高を貫き、高橋監督は小久保現侍ジャパン監督を尊敬。好敵手として認め合い、つるむことはなかった。野球とプライベートで一線を画した3人はグラウンド上で勝利という1つの目的を追求し続けた。

 3人で初めて東京ドームのお立ち台に並び立ったのは99年6月10日の中日戦。1発のそろい踏みでファンの大歓声が降り注いだ。インタビュー後、カメラマンが3人の並ぶ写真を撮ろうとすると、松井コーチが中央の位置を清原容疑者に譲った。中心的存在感を放つ先輩へのリスペクトを2人は持ち続けた。

 高橋監督と松井コーチは肩書こそ違うが、巨人の再建へ指導者として同じ土俵に立ち、歩み出した。15年以上の歳月が過ぎ、お立ち台の中央から転落した清原容疑者とはあまりに対照的な光景となった。