期待の和製大砲が意識改革に余念がない。楽天中川大志内野手(25)が3日、キャンプ初の屋外でのフリー打撃で37スイング中5本の柵越えと持ち味を発揮した。昨年、プロ入り初アーチからわずか1カ月間で5本塁打をマークも、その後は失速。持ち前の左翼への強烈な打球だけではなく、「もっと右方向に強い打球を打たないと」と、気を引き締めた。

 ほれぼれするようなバックスクリーン弾だった。6スイング目に「チーム初アーチ」を放つと、30スイングから2本連続でスタンドへたたき込んだ。37スイングで5発。「いい感じに打てた」と自ら及第点をつけたものの「もっとセンターから右中間方向の確率を上げていかないと」と反省した。

 課題は顕著に表れていた。最大の武器である長打は披露したが、安打性の打球はほとんどが左翼方向。逆方向を意識してもファウルや平凡なフライが目立ったことが、中川を「まだまだです」と謙虚にさせる。

 昨年5月10日のソフトバンク戦でプロ初アーチ。1カ月足らずで5本塁打と大器の片りんを見せたが、うち4本塁打が左翼方向と引っ張る打球が目立った。さらに、短期間でアーチを量産したことで自分の打撃も見失った。

 「去年から逆方向を意識していたけど、ホームランが出たあたりからその意識がなくなった」。相手チームに研究され、外角や変化球で攻められるようになると急激に快音が消えた。打とうとすればするほど、強引にバットを振ろうとして体が開いてしまう。2打席連発を記録した6月4日のヤクルト戦以降ノーアーチ。最終打率も2割3分5厘と、もろさを露呈した。

 意識改革が実を結べば、打率を残せ、本塁打の量産も可能だ。目標とする打者はいない。「ホームランを打てるバッターになりたい」。楽天のスラッガーは今度こそ、真のブレークを狙う。【田口元義】