慎重に理想の投げ方を築き上げる。楽天釜田佳直投手(22)が4日、第1クール3度目のブルペンに入り、82球を投げた。「昨日は100球近く投げて、体(の筋肉)が張った状態でどれくらい投げられるか試したけど、最後の方は疲れました」と、球威が落ちたことに苦笑いしたが、満足の表情を見せた。

 ブルペンでは試したいことを試した。ストレート46球、カーブ20球、チェンジアップ7球、フォーク6球、スライダー3球。なかでもこだわったのがカーブだ。釜田は「カーブを投げると体の使い方が一番うまくいくんです」と言う。昨秋の岡山・倉敷キャンプ。与田剛投手コーチに「投球の際に(体を使う)タイミングを大事にしろ」と指導された。下半身から上半身の動きがスムーズになることで、制球力が増し、変化球の精度もアップしていく。

 安定感のある投球は、右肘のトミー・ジョン手術から復活した昨年からのテーマでもあった。8月29日の西武戦で719日ぶりの白星を手にしたが、その後2試合で計10失点と精彩を欠いた。復帰できた喜びはあるが、課題を残したからこそ、今冷静に自分を受け止められている。

 与田コーチが「予想以上にボールはいいと思う」と評価するように、釜田の仕上がりは順調だ。「(2次キャンプ地の沖縄)金武町ではすぐに実戦が始まる。久米島でしか投げて体を作れない」。第2クールからも、釜田は自分と対話しながら状態を上げていく。【田口元義】