16年版の「菅野の進化論」第2弾は、新たな投球術だった。巨人菅野智之投手(26)が5日、春季キャンプ第2クールから「フロントドア」の習得に取り組む意向を示した。数パターンある中で、菅野が着手するのは左打者の内角にツーシームを投げ込む「フロントドア」。「第2クールでは球速が速くて、落ちる球をテーマに。フロントドアをブルペンで投げていきます」と話した。

 22年目の相川を「別世界」と驚嘆させた2日の初ブルペンから、また1段階グレードアップする。新たに取り組む「フロントドア」は、左打者にとっては内角のボールゾーンから、ストライクゾーンに鋭く曲がるボール。一瞬、体の方に向かってくることから、打者には恐怖心が頭をよぎる。広島黒田が得意とし、メジャーリーガーを打ち取るすべだった。

 キャンプ前、菅野は「やりたいことが、たくさんあります」と言った。「菅野の進化」第1弾は、「直球の追求」で日本ハム大谷ら速球派投手を参考にフォームを修正。一定の手応えを得て、次なるステップに進むことを決めた。プロ3年間で通算35勝。14年には最優秀防御率、最優秀選手も獲得したが、満足感はなかった。菅野の心には、自らが信じる言葉がある。

 「変わらない信念、変われる勇気」

 プロ入り以降、貪欲に、勇気を持って、進化を追い求めた。オフごとに定めたテーマに取り組み、習得すれば、また新たなテーマに挑戦する。「4年間で一番いいです」と手応えを示す今季は、進化のスピードも加速する。14日には今季初実戦の紅白戦に登板予定。第3弾に向け「あまり、言いたくないんです」と口は堅いが、その分をマウンドで証明する。【久保賢吾】