巨人版ハッピー大作戦だ! 宮崎キャンプの11日、高橋由伸監督(40)が箱根駅伝を連覇した青学大の原晋監督(48)の激励を受けた。「駅伝も野球に通ずる」と感じる指揮官にとって、新外国人のギャレット・ジョーンズ外野手(34=前ヤンキース)がシート打撃で特大本塁打を放つなどハッピー指数が急上昇。秋に幸福絶頂を迎えるために“ランナー”たちを鍛えていく。

 見る者を幸せな気持ちにさせた。フリー打撃でマイコラスから1発を放ったギャレットがシート打撃でも連発。左腕公文の甘いスライダーを力で打ち砕く。キャンプ序盤は凡打も目立ち、左投手への対応力にも疑問符がついていた。だが右翼線へ推定130メートル弾でメジャー通算122発を裏付けた。「実戦前とはいえ、打てて良かった」と喜んだ。

 練習前の円陣でハッピー大作戦が注入されていた。箱根駅伝を連覇した青学大の原監督から「感動を与える人間になろう」と説かれた。球界最高のハッピー男でもある長嶋茂雄終身名誉監督の薦めで実現した訓示。心のピーキングを重視した陸上界の名将の言葉に高橋監督もうなずいた。「駅伝はみんなでつなぐけど、走るのは1人。野球に通ずる部分がある」と感じた。

 ハッピーなシーンが点在した。好調な打撃陣だけではない。ブルペンではドラフト7位の中川皓太投手(21=東海大)が阿部と渡り合った。「スライダーを」と要求され「あまり投げないです」。「いいから投げてみろ」と言われ、2球続けて及第点を得た。だが締めで「最後にスライダーをちょうだい」と言われると「いや、真っすぐでいきます」と貫いた。ベテラン捕手は「断られるの初めてだよ」と苦笑いも、童顔の新人は「直球で締めたかった」と物おじしなかった。

 ギャレットも打撃改善の裏のハッピー話を披露した。「内田打撃コーチに“1、2の~3”でタイミングを取るのに奥さんの名前を呼びながら、と言われた。“キャ~シー”みたいにね。彼女の顔を時々思い出す。でも間違ってもボールを妻だと思って打たないよ」と、のろけまくりだ。

 最近の幸せに高橋監督は「ないね~」と苦笑いも、国際担当が喜んでいたことに「だろうね。シーズンで打ってほしいね」と願った。練習後は若手コーチを伴い、原監督との会食で指導論を交わした。ハッピー指数300%で実りの秋を迎えるため、長き道のりを走破する。【広重竜太郎】

 ◆ハッピー大作戦 青学大陸上部の原監督が、1月の箱根駅伝を前に掲げた作戦名。連覇への重圧で暗くなりがちだった選手のテンションを上げ、前向きで明るいチームカラーを取り戻すために命名した。現在の幸福度を示すハッピー指数でチーム状態を表現。ミーティングで選手に「ハッピーなこと」を報告させるなどして気持ちを高め、本番に向けて指数を上げていった。箱根駅伝では1度も首位を譲らない完全優勝で2連覇を達成。原監督は往路後のハッピー指数を「100%」、連覇達成直後は「300%」と表した。