先発争い参戦へスタンバイOKだ。12日(日本時間13日)、右肘痛を抱え、スロー調整だった日本ハム上沢直之投手(22)が米アリゾナキャンプ初の打撃投手を務めた。市川を相手に21球を投げて、安打性は1本と上々の内容だった。次のステップとなる実戦登板のメドも立ち、目標の開幕ローテーション入りへ、いよいよ準備が整った。

 力感のない動作から、力強いボールが次々と繰り出された。上沢が納得の表情で振り返った。「今日は、まずはストライクを取ることを考えていましたけど、コースにきちっきちっといっていたのでよかった」。久しぶりの打者との対戦で21球を投げ、安打性は1本。「あまり好きじゃない」という打撃投手だが、右肘痛からの復活へ向けた第1段階はクリア。しかも、納得の内容だった。

 じっくりと患部の復調を待ちながら、しっかり土台を固めた。昨季終盤から右ひじに違和感を覚え、全力投球が出来ない日々が続いた。1月は5、6割の力で投球。キャンプイン後も慎重に、出力を上げすぎない調整を重ねていく中で、持ち前の「脱力フォーム」に磨きがかかった。「割とフライも多かったですし、(引っぱられた)左方向の打球がなかったので、よかったのかなと思います。変化球もよかった」。ゆったりとした投球フォームから、伸びのあるボール。受けた市川を「(フォームが)ゆるすぎてタイミングが取りづらい」と、うならせた。

 実戦登板のメドも立った。順調に行けば、20日に沖縄・国頭で行われる紅白戦で今季初登板となりそうだ。確かな手応えを得たことで、右肘痛で出遅れたことも「今思えば、しっかりブルペンで調整して調子が上向いてきたので、よかった」と前向きにとらえた。帰国後に本格化するサバイバルへ、身を投じる準備を完了した。