日本ハム高梨裕稔投手(24)が、快投で開幕ローテーション入りを引き寄せた。25日、阪神との練習試合に先発し、主力級の打線相手に4回1安打無失点。テレビ中継の表示では、自己最速を2キロ更新する150キロを計測した。力強い直球を軸にイニングまたぎで4者連続三振を含む計5三振の力投。3年目の右腕が、激しい開幕ローテ争いを1歩抜け出した。

 異彩を放ったのは、無名の超新星だった。3年目の高梨が、主力級が並ぶ阪神打線を圧倒した。2回。先頭ペレスの見逃し三振から、陽川、ドラフト1位高山まで3者三振に切って取った。続く3回先頭の横田からも空振り三振を奪い、イニングまたぎの4者連続三振。虎党の熱烈な声援を、力投で押し黙らせた。「初回の先頭とイニングの先頭を、しっかり抑えること」。心がけていた通り、要所を締め4回1安打無失点。計5三振と躍動した。

 強烈な存在感は、数字が証明していた。1回1死、大和への4球目。球場の電光掲示板に、自己最速148キロを更新する149キロが表示された。「すごいうれしかった」。テレビ中継では150キロを計測していたと知ると、さらに目を見開き大興奮。「ずっと目標にしていた。うれしい」。球威ある直球を軸に、スライダーやフォーク、カーブを駆使。丹念な組み立てが、強力打線を封じる成果につながった。

 6番目の男に名乗り出た。キャンプ中の実戦3試合で計9回2安打1失点と、抜群の安定感。この日は「3試合の中で一番良かった」と着実に前進している。大谷、メンドーサ、吉川の3本柱に続く開幕ローテは混戦模様。「開幕ローテはずっと目標。僕は、飛ばしていかないといけない」。現状では新外国人バースや有原に次ぐ6番手の座へ、ライバルを突き放した。

 野球人生の表舞台で、花開く日を待っている。千葉・土気高で内野手から投手に転向。当時、山梨学院大の監督で日本ハムOB高橋一三氏に見いだされ、磨かれてきた。13年ドラフト4位で入団。先発候補としてイースタン・リーグのローテーションを回り、昨年は21試合登板で11勝。1軍デビューも果たした。「絶対にポジティブに前向きにやる」。昨オフに設定した目標が、殻を破るきっかけになった。

 栗山監督は「1つ上のところで前に進んだ。素晴らしい」と大絶賛。高梨は初々しく、素直に、自らの歩みを評価した。「全てにおいて成長している」。たくましい新戦力は、大舞台で開花の瞬間を待つ。【田中彩友美】