中日ドラフト1位小笠原慎之介投手(18=東海大相模)が強烈な洗礼を浴びた。6日、ヤクルトとのオープン戦(ナゴヤドーム)で本拠地デビューを果たし、1回2安打2失点。1回2死三塁から、60発男バレンティンに対し、果敢に内角を攻めたが、左翼へ2ランされた。甘い球は見逃してくれない厳しさを痛感。成長性への糧にする。

 痛烈な1発で小笠原はプロの厳しさを学んだ。味方のミスもあり迎えた1回2死三塁のピンチで、13年に60本塁打のプロ野球記録を打ち立てた大砲バレンティンと相対した。フルカウントからの6球目、高めに浮いた143キロ直球を左翼スタンドに放り込まれた。

 「勝負した結果、甘めに入って打たれた。1球の重みを感じた。本塁打記録を持っている打者なので真ん中に入ったボールはミスショットがない。プロの厳しさを感じました」

 「逃げ」は決して選択しなかった。試合前に友利投手コーチらとバレンティンの攻め方について話し合った。「逃げるか攻めるか選択に迷った。でも逃げたら成長できないと思った」と内角中心の配球を選んだ。意図と違えば、バッテリーを組んだドラフト3位木下拓哉捕手(24=トヨタ自動車)のサインにも首を振った。

 6球目も内角を狙った。しかし、甘くなってしまった。左翼スタンドへ一直線の打球を、マウンドから悔しそうな表情を浮かべて見送った。「(内角攻めは)僕の思いです。前回の課題でコースを突いて抑えるというところ。しっかり結果を出さないと僕も怪しいですから。1日でも早く成長したぞというところを見せたかった」と証明したかった。はね返されてしまったが、この悔しさをバネにする。

 昨年の夏、甲子園を制覇した左腕もプロの1発から多くを学んだ。谷繁監督は「高めの真っすぐで今度は空振りを取れるようになれたらいいんじゃないですか。結果に関しては重要視していない。本人がどう感じるか」と期待した。この日の21球が小笠原を大きく成長させてくれるはずだ。【宮崎えり子】