杉ちゃんもいるぜぇ。中日4年目杉山翔大捕手(25)が、ポスト谷繁の座を巡る正捕手争いに名乗りを上げた。8日のDeNA戦(横浜)。今年初めて1軍で先発マスクをかぶると、守っては2度の盗塁阻止と好リード、打っては3打数1安打とワイルドに暴れた。キャンプを2軍ですごした杉山が、猛烈な巻き返しに出た。

 ようやく回ってきたチャンスを中日杉山は絶好のアピールに変えた。5回2死一塁、一塁走者にはドラフト3位柴田竜拓内野手(22=国学院大)がいた。

 杉山は察知していた。「走ってくるだろうなと思った。横外しというか、外角直球を投げさせた。案の定、走ってきたので余裕を持ってアウトにできました」。計算尽くされた盗塁阻止だった。

 2度目の見せ場は6回だった。無死一塁で代走内村。「送りバントがある場面だったので、用心しながらも準備はしていた」。ワンバウンド送球ながらも快足ランナーを刺した。

 試合の主導権をしっかり握った。「単純に盗塁を刺すと試合の流れが変わる。投手も楽になると思うし、自分も楽になる」と話す。前回登板で大乱調だった先発浜田達も「本当に助かりました」。1回に先頭白崎に先制ソロを浴びた後は、テンポを考え捕球後すぐに投手へ返球。杉山が流れをつくった。バットでも3回に中前打。攻守で存在感を示し、谷繁監督は「(2軍で)しっかりやっていたんでしょうね」と、うなずいた。

 昨秋はキャンプ中に故障した。おかげでリハビリに励む日々が続いた。「元はと言えば自分が悪い」。春のキャンプは2軍スタート。じっくり腰を据え、特に送球練習には力を入れた。「開幕までに間に合わせる」と自分に言い聞かせながら練習に取り組んだが、1軍に呼ばれたのは開幕まで3週間を切った6日だった。「結果を残せるように、期待に応えられるように頑張りたい」。兼任だった谷繁監督が昨季限りで現役引退。正捕手不在の課題は、遅れてきた杉ちゃんが一気に解消するぜぇ。【宮崎えり子】