執念が最高の滑り出しを呼び込んだ。満員の本拠地で西武がサヨナラ勝ち。1点を勝ち越された9回に栗山の右中間を破る三塁打で同点に追いつくと、締めはメヒア。甘く入ったスライダーを中前にはじき返し、劇的勝利を決めた。田辺徳雄監督(49)は「あきらめることなく、何とかしようという気持ちが結果につながった。ほんとに負けなくてよかったです」と安堵(あんど)の表情をみせた。

 粘り強さが、運も味方に付けた。まずは3点ビハインドの7回。代打上本の右前打から1死一、二塁の好機をつくると、秋山が「スーパーラッキーでした」と振り返った一塁ベース直撃の適時二塁打。上位打線につないで同点に追いつき、難敵金子をマウンドから引きずり降ろした。

 そして9回は相手のミスを着火剤にした。1死一塁からコーディエがけん制悪送球。一塁走者秋山が二塁に進み、サヨナラ劇へのお膳立てとなった。得点した回はいずれも一塁ベースが絡み、田辺監督も「これも地の利かな。いいツキがあるな、という感じ。そのワンチャンスを何とかつないでくれた」と、選手の勝利への執念をたたえた。

 9回の西武プリンスドームの気温は5度。真冬並みの寒さも、最後は3万2364人のファンの熱気がグラウンドを包み込んだ。前日に寒さを味方につけたいと話していた指揮官。「序盤は打線も寒かったけどね。最後は熱くなってよかったよ」と笑顔で締めくくった。2年連続Bクラスからの雪辱、そして目標の優勝へ、これ以上ない景気付けになった。【佐竹実】

 ▼西武が9回に逆転サヨナラ勝ち。パ・リーグの開幕戦でサヨナラ勝ちは、14年日本ハムがオリックス戦で記録して以来20度目。西武は05年オリックス戦以来11年ぶり7度目で、パ・リーグでは最多回数。逆転に限るとパ・リーグ8度目で、西武では75、94、00年に次いで4度目。オリックスは1リーグ時代から通算7度目の開幕戦サヨナラ負けだが、13、14年に次いで最近5年間で3度目と近年に急増している。