逆転の獅子だ。西武が初回で背負った5点のビハインドをはね返し、開幕2連勝を飾った。前夜の逆転サヨナラ勝ちの勢いそのままの勝利に、田辺徳雄監督(49)も手応えを隠せず。「5点は重かったけどね。地道に点を取っていければ何とかなるかな、と。各バッターがうまくつなげて、いい点の取り方だった」と、打線の粘りをたたえた。

 つながりの裏には、開幕戦から導入した個別の戦略ミーティングの存在があった。今季加わった橋上作戦コーチが試合前練習中にベンチ裏で実施。過去の対戦データなどを基に、相手投手攻略への助言を選手ごとに伝えている。その中で共通しているのは「ストライクゾーンの四隅は捨てていい」という指示。同コーチは「コーナーきっちりに来た球はなかなか打てない。もしそれで見逃し三振になっても、そのリスクはこちらで持つと伝えてます」。

 開幕戦では難敵金子からは7四球を選び、攻略への糸口とした。この試合では、四球で出塁した7度のうち、5度が得点走者となった。甘くなった球だけを冷静に見極めて出塁につなげ、役者がそろう上位打線が好球必打で得点を奪う。この好循環が、序盤で劣勢を強いられても逆転できる打線の力強さとなっている。

 6回にダメ押しの2点適時打を放った栗山は「野球選手として当然のことなんですが、打席に立つと忘れがちになってしまうのも事実。試合前に伝えてもらえることで、再確認できる」と、ミーティングの効果に感謝する。連日の逆転劇には1つの下地があった。【佐竹実】