広島黒田博樹投手(41)はビシエドを遊ゴロに打ち取り、グラブの先で静かに汗を拭いた。

 6回1死一、二塁。1発を浴びれば1点差に迫られるピンチだった。迷わず、初球から4球連続でツーシームを選択した。全球を内角の厳しいコースに投げきった。1打席目は同様の攻めで遊ゴロ、2打席目は逆にスライダーを意識させたことで、この回のピンチ回避につなげた。

 「早い回に意識させられたことが後半に生きた。困ったときに内角をつけた」

 米大リーグ・ヤンキース時代にも5打数無安打、3三振に封じ込めていた。「あのときの状態とは違う」と言うが、日本野球に対応してきた助っ人を返り討ちにしてみせた。ビシエド封じが功を奏し、7回8安打2失点でリーグトップの4勝目。「苦しかったですけど、何とか粘れた」と振り返った。

 4月26日に通算2000安打を達成した新井には翌日に電話で祝福。「感動的だった。目の前で見られればよかったけど」と喜んだ。自身もチームを2位浮上、今季最多タイの貯金4に導く白星で、日米通算200勝まで残り3勝。「まだまだ僕は考える余裕はない」と笑ったが、カウントダウンは確実に始まっている。【池本泰尚】

 ▼41歳の黒田がリーグトップの4勝目を挙げた。4月中に4勝はヤンキース時代の13年に記録している黒田だが、日本では初めてになる。4月中に4勝した40代の投手は15年レイ(楽天=40歳)に次いで2人目。40代の投手が4月終了時にハーラートップは3勝で4人が並んでいた90年村田(ロッテ=40歳)以来、26年ぶり2人目。セ・リーグでは40代の投手が4月中に4勝、4月終了時にハーラートップの両方とも初めてだ。