ある意味、ビシエドより怖い!? 中日はまたも8番打者が試合を決めた。同点の5回、桂依央利捕手(24)が阪神藤浪の145キロを左翼越えにたたき込む3号ソロ。連敗を3で止め、阪神戦も4連勝とした。

 中日の下位には小さな鬼が潜んでいる。阪神戦で5本塁打と猛威をふるっていたビシエドが対戦7試合目で初無安打。それでも下位に控える伏兵のバットが藤浪を襲った。

 捕手は昨季から杉山と桂の併用が続く。杉山は打率3割4分と打ちまくり、桂は51打席で3本塁打の長打力。2人とも昨年1軍デビューしたとは思えない好成績で、桂は「しっかり振っていこうと思っているのがいいのかな」。年齢は杉山が1つ上で「向こうが活躍すると面白くない」と言い合うライバル関係だ。

 勝利打点はともに3。「8番打者」が挙げた計6の決勝打は、打順別で何とトップ。同じく打率は3割1分7厘、4本塁打、21打点と3部門が4番打者に次ぐ2位。だから打線がつながっていく。長年の懸案だった名捕手谷繁の後継者育成に道筋が出来つつある。

 中日の捕手陣は大変だ。桂は4回終了後、リードを巡って指揮官に懇々と説教を受けた。試合に出ない杉山も監督の横に付きっきり。谷繁監督は「捕手には厳しいことを言っているので、打ったときくらいはホメないと」と笑顔を見せつつ「そのうちマークされるようになりますよ。まだまだです」。誰より怖い“鬼”に心技体を鍛えられている2人のライバル物語は、しばらく続きそうだ。【柏原誠】