日本ハム大谷翔平投手(21)が、今季9試合目の登板でようやく2勝目を手にした。楽天打線を相手に、カーブを多めに配し、最速160キロの速球との緩急で打ち取る新スタイル。6回3安打無失点で、毎回の6奪三振で三塁を踏ませなかった。1日のロッテ戦以来3試合ぶりの勝利で、チームを今季2度目の3連勝へ導いた。

 背負っていた“荷物”を置くことができた。大谷はお立ち台で、ホッと息をついた。「すごくうれしいです。僕が“連敗”を止めていたので、申し訳ないなと思っていました」。1日ロッテ戦以来3戦ぶりの2勝目。「連敗」ではなく「連勝」だが、ほほ笑ましい間違いにも、安堵(あんど)がにじむ。

 1回、銀次への6球目が、三塁も踏ませない好投への出発点になった。カウント2-2から選択したのは、118キロのカーブ。意表を突かれた銀次のバットは空を切った。「1球使ってみて、まずまずだった」。組み立ての肝になると確信した。5回、藤田もカーブで空振り三振。普段は2、3球しか投げない球種だがこの日は要所に配した。変化球35球中、12球がカーブ。3回に2球マークした最速160キロとの緩急もあり、効果的な武器になった。

 前回、前々回登板ともに、チームの3連勝がかかった一戦で黒星を喫した。「自分の思うように球がいかないという、そういうの(フラストレーション)はありました」。行動パターンを変えたり験を担いだり、形のないものにすがることはしない。「去年と同じように、崩さずにやっていました」。乗り越えられるのは、自分の努力だけ。「技術面で見えているものもある」。自らの力で壁をぶち破った。

 打線の援護に恵まれたのは確か。「いい流れできていた。僕が変な感じにしなければ、(点を)取ってくれると思っていた」。感謝したが、その好循環を生み出したのも、打率3割4分8厘、8本塁打と好調な大谷のバットだった。ブルージェイズのダン・エバンス環太平洋スカウト部長ら、メジャースカウトの目は常にスタンドにある。栗山監督は「フォームのバランスも良かった。これで落ち着けるんじゃないか」。エースについた白星。5カード連続の勝ち越し。今季最多の貯金4。追撃態勢が整った。【本間翼】