進化をみせた。西武高橋光成投手(19)が楽天打線を3安打に抑え、今季初完封を飾った。最速147キロの直球とフォークで連打を許さず。序盤のフォームの乱れも修正し、2年目の成長の跡を示した。打線も今季20度目の2ケタ安打で援護し、チームは今季初の同一カード3連勝。最大9あった借金も4まで減らし、獅子が勢いに乗ってきた。

 最後は狙って仕留めた。9回2死一塁で打席はウィーラー。カウント2-2から高橋光が選んだのはフォークだった。「気持ち良く終わりたかったので、狙いにいきました。しっかり決められて良かった」。バットが空を切ると、グラブをひとたたき。炭谷から満面の笑みでウイニングボールを受け取った。

 立ち上がりは制球に苦しんだ。ノーワインドアップ時に、リリースポイントがばらついていた。「何かがおかしい」と感じ取り、2回終了後に土肥投手コーチに相談。「真っすぐ立てず、ぐらついているぞ、とアドバイスしていただいて。そこを意識してから、制球もボールも良くなりました」。自身で問題点に気付き、試合中に修正。2年目の成長をマウンドで示した。

 今年1月。目標に掲げたのが完投勝利だった。「1年目と同じでは先発ローテに入れない。みんなに信頼してもらえる投手になること。9回まで投げきる体力をつけて、最後マウンドでハイタッチがしたい」。昨季は1度だけだった完投。先発としての自覚がしっかり生まれていた。

 キャプテンが求めたものも、同じだった。2戦未勝利で同行した今月10日からの仙台遠征。栗山から食事に誘われた。「130球で完投出来るように頑張れ、とアドバイスをもらいました。あらためて心掛けて、今日も意識して投げました」。後ろから見守る先輩からのげき。117球で投げきった姿で応えてみせた。

 25日に母校の前橋育英が春季高校野球関東大会で初優勝を飾った。高橋光がエースとして臨んだ2年時は準Vだった大会。「超えられましたね。後輩たちが勝ったことは刺激になります。負けないように頑張らないといけない」。後輩の活躍も力に変え、進化を示した完封劇も「僕はアピールし続けないといけない立場」と引き締めた。19歳右腕の成長曲線には、まだまだ先がある。【佐竹実】

 ▼高橋光が今季初、昨年8月23日ロッテ戦(西武プリンスドーム)以来プロ入り2度目の完封勝利。高卒で新人年から2年連続の完封勝利は、田中(楽天)以来ドラフト制後(66年以降入団)14人目。西武では松坂(現ソフトバンク)以来だ。