太平洋を股に掛けた男の勲章だ。阪神福留が連日のシーソーゲームで存在感を示す。2点リードを許した直後の4回は先頭で打席へ。小川の外角高め直球を逆らわずに強振すると、そのまま左翼席にスタンドイン。4月7日巨人戦以来の3号ソロアーチを放った。

 「イニングの先頭打者だったので、とにかく塁に出ようという意識で打席に向かいました。球場は狭い。風も追い風。その中で、ちゃんとコンタクトできた」

 ありふれた本塁打ではない。プロ入り18年目で日米通算1000打点をマークした。メジャーで195打点を挙げ、日本でも805打点。日米の合算でもイチロー、松井秀ら大打者とも肩を並べた。「打点は1人で稼いだわけじゃない。前に走者がいてくれたり、助けてくれる仲間がいるから達成できる。周りのみんなに感謝したい」と言う。

 ブレない食生活も快挙の要因だろう。39歳になり、栄養面に気を配る。「俺は絶対に和食」と話す。福留家のテーブルには刺し身、焼き魚、煮物が並ぶ。米国でも必ずみそ汁をメニューに入れた和食派だ。「好みは年とともに変わるよ。もともとヘルシーやけど」。高カロリーの揚げ物はほとんど食べないという。バランスのいい食事が、激戦で命を削る男を支えている。

 触発されたように5番原口もアーチを懸ける。2回には4番ゴメスが2戦連発の13号ソロで、2年ぶりにクリーンアップが本塁打そろい踏み。昨季の覇者が誇る強力打線に1歩も譲らない空中戦を演じた。

 今季最長となる出場7試合連続安打中の福留は言う。「流れの悪い試合が続く。何とか明日、流れを変えられる打撃をしたい。これからも(打点を)1つ1つ、積み上げられたらいい」。あくなき挑戦者は語気を強めてバスに消えた。【酒井俊作】

 ▼福留が日米通算1000打点。メジャーから阪神に加入しての到達は、11年城島健司(前マリナーズ)に次ぎ2人目。なお日米合わせ1000打点はほかに、イチロー、松井秀喜、中村紀洋、井口資仁、松井稼頭央と、全部で7人。

 ▼阪神在籍中に現役通算1000打点を記録したのは7人目。他球団から移籍して到達する選手が多く、福留は65年山内一弘(前大毎)、05年金本知憲(前広島)、11年城島、13年新井貴浩(前広島)に次ぎ5人目。ほかに生え抜きでは、54年藤村富美男、88年掛布雅之の2人。

 ▼阪神クリーンアップの本塁打そろい踏みは、14年8月5日ヤクルト戦(神宮)で3番鳥谷、4番ゴメス、5番マートンが放って以来、2年ぶり。前回の試合では6番新井貴が初回に先制満塁アーチをかけるなど23安打20点の大勝だった。今季の1試合3本塁打は4月3日DeNA戦(横浜)で5番ゴメス、代打北條、途中出場の江越が放って以来2度目。