虎が連勝で2位浮上や。先手を許したが、右打者を並べたオーダーが的中し、4回に4連打、3者連続タイムリーで一気の逆転。4回に同点打を放ったマット・ヘイグ内野手(30)は、9回に2号ソロを放った。投手陣も最後は追い上げられたが、守護神マルコス・マテオ投手(32)の負傷離脱窮地を一丸となって乗り切った。

 虎の右打ち軍団が大きく口を開け、左腕今村をスピーディーにのみ込んでいく。仕上げは7番新井だ。「流れのまま打たせてもらいました」。浮いた直球をライナーで右中間にはじき返した。右打者だけで4連打を完成させて一挙4得点。主役は三塁側ベンチに向かって右拳を突き上げた。

 金本監督 ヘイグ、良太がいいタイミングで打ってくれたね。

 4回。2点を先制された直後、4番から5人並べた右打者たちが牙をむいた。1死一塁から4番ゴメスの右前打で一、三塁。5番原口が詰まりながらも右翼線に落とし、1点差に迫って1死一、三塁。5番ヘイグは初球の低めフォークを左翼線に打ち返した。適時二塁打で同点。さらに1死二、三塁。「守備隊形は前だったし、三振と内野フライだけはダメだと思って」。最後は新井が2点打を決め、三塁ベンチの盛り上がりは最高潮に達した。

 新井は5月14日DeNA戦以来、実に12試合ぶりのスタメン起用だった。しかも本職の三塁ではない左翼。金本監督は「片岡コーチの大推薦でね。大丈夫かと聞いたら、いけますと言うので」と舞台の裏側を明かす。左打者のルーキー高山と板山、実力者の右打者大和も控える外野陣の中からあえて新井を抜てき。選手の状態を日々慎重に見極めてきた首脳陣の采配がズバリ的中した形だ。

 前日27日巨人戦で出番がなかったヘイグも2戦ぶりの先発起用に◎回答だ。3点リードの9回には左越え2号ソロ。左翼最上部まで推定飛距離140メートル弾を届かせ、「自分のスイングができれば、あれぐらいはいくかなと思う」とニンマリだ。1発は3月30日ヤクルト戦以来2カ月ぶり。「どうしても(低めの)ボール球を振ってしまっている。大事なことはストライクをしっかり打つこと」と自らに言い聞かせ、直近の出場4試合でマルチ安打3度と状態を上げてきた。

 代打起用が多い新井は言う。「(出る形は)関係ない。出してもらったところでしっかり貢献できるように準備するだけ」。出番に飢えた虎たちが少ない出番で結果を出せば、上昇ムードはおのずと高まる。交流戦突入まで残り1試合で貯金1。「5割で交流戦を迎えるのと貯金2つでは大きな違い。なんとか明日勝ちたい」。指揮官は試合後、今日29日の必勝号令をかけた【佐井陽介】

 ▼阪神が4回に記録した4連打は、3月26日中日戦、4月8日広島戦、同14日DeNA戦、同22日広島戦、5月24日ヤクルト戦に次いで今季6度目。ゴメスは5度からんでおり最多。鳥谷と高山が3度で続いている。

 ▼今季阪神の先発打順は、これで42通り目。4月8日広島戦から40試合連続で変更となった。先発野手の右打者6人(両打ち西岡を除く)は最多で5度目。この試合は4~8番に右5人が連なったが、22日広島戦で1~5番(北條、大和、ヘイグ、ゴメス、原口)に右がズラリが1度あった。