ビッグレッドマシンガンが「日本生命セ・パ交流戦」で息を吹き返す! 広島ブラッド・エルドレッド内野手(35)が決勝適時打を放った。同点の7回2死一、三塁から右前へしぶとく運んだ。5月25日巨人戦の第4打席で打って以来、6試合、24打席ぶりの安打だった。頼れる大砲が調子を取り戻してくれるはずだ。

 フラフラと上がった打球は「マリン風」に乗って右前にポトリと落ちた。大歓声は風に乗り、殊勲者エルドレッドの耳に届いた。誇らしげに新品の打撃用手袋を外した。同点の7回2死一、三塁、カウント1-1からの3球目。ロッテ大谷の抜けたカットボールにバットを出した。根性で右前に決勝適時打を放った。

 「チャンスだったから、なんとかしようと思った。みんながつないでくれたから。つまったけど。でもいいところに落ちてくれた」

 5試合、快音から遠ざかっていた。5月25日巨人戦(マツダスタジアム)の第4打席で中前打を放って以来、実に24打席ぶりのHランプ。両足裏に慢性的な痛みを抱えている。球場入りは黒のスリッパをはき、右足だけは素足だった。それでも「ヘイ、カントリー! 今日もお願いしますよ」と緒方監督に言われれば「ガンバリマス」といつもサムズアップで答えていた。

 5月29日のDeNA戦(横浜)では古くなった打撃用手袋をゴミ箱に捨てた。好調を運んでくれたアイテムだったが、思い切った。「ポサダスタイルだよ」。手袋をつけずに通算1664安打を放ち、ヤンキースの黄金時代を支えたホルヘ・ポサダ氏の名前を出し、素手で打撃練習のケージに立った。試合からは新品を使用。新たな道具で新たな気持ち。田中の好走塁で得点を呼ぶ犠飛を放った。

 チームはエルドレッドの決勝打で30勝リーグ一番乗り。今季交流戦初勝利を挙げ、緒方監督も「決勝打のカントリー(エルドレッド)もだけど、2打点のキク(菊池)の打撃も大きかったね。初勝利? まだ2試合目だよ。これから、これから」と笑顔だった。大砲が目覚めればビッグレッドマシンガンも目を覚ます。広島が首位のまま突っ走る。【池本泰尚】