阪神が将来的な2軍本拠地移転プランを温めていることが21日、分かった。今季から指揮を執る掛布雅之2軍監督(61)の人気は絶大で、鳴尾浜でのウエスタン・リーグ公式戦は連日のようにファンが殺到。入場制限され、球場前の歩道に行列を作るほどだ。

 球団首脳は「鳴尾浜も手狭になってきたし、移転も考えていかなければいけない」と説明。ファンの安全を保つためにも、将来的な本拠地移転が可能か、阪神電鉄内でも模索する。鳴尾浜は2軍本拠地として94年10月に室内練習場、合宿所を併設して西宮市内に完成した。最大収容人数は500人で、敷地の問題もあり、大がかりな客席の増設は不可能だという。

 次代を見据えながら、大阪・神戸地区に根ざした伝統球団として、複数の候補地が浮上する。尼崎市内には1万人規模を収容できる球場がある。鳴尾浜に近い球場も立地条件では抜群だろう。神戸市内には今季までオリックスが2軍本拠とする神戸第2球場もあり、候補の1つだという。オリックスは17年シーズンから大阪・舞洲に2軍本拠地を移すだけに、来季以降の使用に支障はないとみられる。阪神は兵庫県を保護地域にしており、地元に密着した代替地を探る。

 阪神は開幕後、高野栄一球団本部長が巨人のジャイアンツ球場やソフトバンクの新球場タマホームスタジアム筑後を視察した。いずれも両球団が敷く3軍制のシステムを研究するためだった。現時点で、阪神の3軍制導入は検討課題ではないが、情報収集を重ねている。球団幹部は「鳴尾浜は残しておいて残留練習などで使うこともできる」と言う。今後も鳴尾浜に軸足を置きつつ、立地面や資金面、練習環境など、あらゆる条件を勘案して、最善の舞台を整える。