悠久の時を過ごすかのような空気で、西武秋山俊外野手(23)がピッチングマシンに向き合った。28日午後のこと。ふとボールが切れた。

「え、4時半?」

つぶやいた。昼食を終えた午後1時、辻竜太郎2軍野手チーフコーチ(50)のアドバイスで、ヘッドやグリップの角度を春先の状態に戻そうとしていた。

「あ、あそこからずっと打ってます。もうそんな時間になったんですね」

先に練習を終えていた横田蒼和内野手(18)から「えっ、何球打ったんですか? 5カゴとか?」と驚かれる。秋山自身、数えてもいなかったが、数百球に及んでいたとみられる。

北海道出身のルーキーは、ドラフト3位の高い評価で中京大から入団した。1軍も5試合経験し、プロ初安打も記録した。「オープン戦で2軍へ、となった時も直前に阪神の木下さんとかの155キロ、156キロを見ることができて。1軍の雰囲気を一度経験できたのは、ファームの試合で変に自信を持てたのはあるかもしれません」。

とはいえ過信は一切ない。わずかな狂いが生じてくれば、こうしてコーチ陣の気付きで修正がかけられ、とことん振る。重いバットを黙々と2時間、3時間…納得がいくまで。打ち終われば初動負荷トレーニングへ。スマホを見てひと息、なんてこともない。

桑原、カナリオ、林安可、茶野…このオフ、1軍の外野手層が厚くなったことは、未来のレギュラー候補をじっくり育てられることにもつながっている。「もう何本折ったか、分かんないんですよ」。それほどまでにバットを振り、来るべきに備える。

入寮はや半年、セイコーマートの店舗が埼玉県にもあることを知らぬほど、野球に打ち込んでいる。【金子真仁】