「代打の神様」って呼んでいいよね!? 楽天は0-2の7回、ゼラス・ウィーラー内野手(29)のソロに続き、2死一塁から代打の枡田慎太郎外野手(28)が左中間に逆転2ランを放った。終盤の猛攻を披露した。投げては先発の美馬学投手(29)が粘り、2番手の金刃憲人投手(32)が、プロ野球史上初となる2度目の「1球勝利」を達成。投打がかみ合い、ソフトバンク戦での連敗を7で止めた。

 「代打の切り札」が一振りで試合を決めた。7回、1-2と1点差に詰め寄り、なおも2死一塁。ソフトバンク東浜の初球だった。「いつも初球から打ちに行くことを心掛けている」と枡田。外角高めの速球を、迷わず振り抜いた。通算対戦成績4打数2安打と相性がいい投手でも、自分のスタイルを崩さなかった。「打った瞬間いったと思った。最高の結果を出せました」と満足そうに振り返る。

 代打では19打数10安打、5割2分6厘と驚異の成功率に「代打の神様」の声も上がるが、「やめてください。過去の神様に失礼です」と、照れくさそうに笑った。

 お立ち台では、「打てないのが当然という気持ち。“適当打法”です」。冗談でファンを笑わせたが本心ではない。「1打席で打つのは難しい。結果を出そうとプレッシャーをかけたくない」と、その狙いを話した。枡田は常に「結果はコントロールできないんで」と言う。無安打でも翌日には誰よりも早くグラウンドに現れ、ティー打撃で汗を流す。試合になれば、ベンチ裏で戦況を見守りながらストレッチや短距離ダッシュ、素振りで汗を流し、出番を待つ。一振りに懸ける男の姿勢を評価しているからこそ、梨田監督も「1打席に懸けるほうが集中力を発揮してくれる」と、安心して枡田を送り出せる。

 6回まで1安打と東浜を打ちあぐねていたものの、7回にウィーラーの1発で打線に火が付き逆転。4番と「代打の神様」に本塁打の出る、ドラマチックな勝利に梨田監督は「楽天らしくない、絵に描いたような攻撃だった。ホームランが2本出たし気分がいい」とご満悦だった。首位を独走するソフトバンクに土をつけた。交流戦を11勝7敗と勝ち越した勢いで、再開したリーグ戦でも粘り強く勝ち、借金を減らしていく。【田口元義】