3連敗で5位と苦しむ中日谷繁元信監督(45)が、キャプテン平田良介外野手(28)に一層のリーダーシップを求めた。25日の全体練習で平田を呼び止め約5分間、話し込んだ。打撃論と合わせ、低迷打破に向けてキャプテンの役割を説いたとみられる。借金10で迎える今日26日からのDeNA3連戦へ、ネジを巻き直した。

 監督の顔は真剣そのものだった。平田もやや硬い表情でうなずく。毎日のように打撃論を交わし、監督は3番打者にワンポイントの助言を授けているが、今回は様相が違った。バットを手にしていた平田が、打撃の仕草をすることはほとんどなかった。

 指揮官は「とにかくチームを引っ張ってくれということ。あとは俺と平田との会話の中のことだから」と具体的な説明は避けた。平田も同様に、内容は明かさなかった。結果が出ないチームをどう、同じ方向に向かせるか-。そんな会話だったと推測される。

 監督とキャプテンの「トップ会談」。背景には23日の出来事もあったとみられる。敗戦後、不振のビシエドを挑発したスタンドの客に平田がフェンス越しに食ってかかり、一時騒然となった。背番号6の責任感の強さと同時に、チーム内に募るフラストレーションを表すシーンのようにも映った。リベンジを期した翌日も気合は空回り。ヤクルトに3連敗した。そんなタイミングだった。

 「雰囲気がめちゃくちゃ悪いわけではない。活気をなくさず、全体で盛り上がっていけば、みんなで乗っていけると思う」。チームの現状について平田は前向きな言葉を繰り返した。監督は「できることをやるしかない。120%を出すのではなく自分の持っている力、プラス、やらなきゃいけないことをやる」と基本の重要さを説いた。4ゲーム離されている3位DeNAとの対決。借金10からのV字回復に近道などない。苦境の中日は平田を軸に、我慢強く上昇の道を探っていく。【柏原誠】