トヨタ自動車(豊田市)が、日立製作所(日立市)を4-0で破り、18度目の出場で初優勝を飾った。2回に樺沢健内野手(26=東農大)のソロから2点を先制し、先発の右腕エース佐竹功年(32=早大)が無四球11奪三振で完封した。日本選手権4度の優勝を誇る強豪が、スタメンに補強選手を起用しない「純正チーム」で悲願の頂点に立った。

 トヨタ自動車が「ハイブリッド野球」で頂点まで駆け抜けた。11奪三振完封した佐竹は、3回以降は毎回走者を出しながら、精密機械のような制球力で圧倒。今季から加入した前ソフトバンクの細山田武史捕手(30=早大)の構えたミットに狂いなく投げ込んだ。橋戸賞を獲得した11年目のエースは「みんなが点を取ってくれて『勝ち越されなければいい』という気持ちで投げられた。トヨタの力を見せられた」。投手陣は今大会5試合でわずか2失点。守備も無失策でつかんだ優勝に喜びを爆発させた。

 打線は小技も交えた燃費抜群の攻撃を見せた。2回、先頭の4番樺沢が初球の甘く入ったスライダーを左翼席へ先制ソロ。さらに二塁打を放った滝野光太朗外野手(24=立命大)を犠打で三塁に進め、7番多木裕史外野手(26=法大)が初球の外角ストレートを左前へ運んだ。就任1年目の桑原大輔監督(42)は「塁を1つずつ進め、1点ずつ取るのが理想」。完璧な試合運びでリードを広げた。

 最後は右膝と右肘の手術を乗り越えた代打坂田篤彦内野手(33=駒大)の適時打でダメ押し。佐竹は「坂田がヒットを打ったときに泣きそうだった。今日のピッチングは100点。常勝トヨタを築いていきたい」。強豪チームからの補強選手をスタメンに使わず、「トヨタの力」で都市対抗を制した達成感に浸った。【鹿野雄太】

 ◆トヨタ自動車は1947年創部。主なOBに元ヤクルト古田敦也氏、オリックス金子、中日吉見、祖父江、ロッテ大谷、荻野、DeNA荒波らがいる。都市対抗は初だけど、日本選手権は4度優勝してる強豪。