日本ハム大谷翔平投手(22)が26日西武戦(西武プリンスドーム)で、今季3度目の猛打賞をマークし、勝利に貢献した。2回に先制のホームを踏むと、1点リードの4回無死二塁から、右翼線へ適時二塁打を放った。自己最多のシーズン3度目の猛打賞は通算5度目となり、チームは不敗。先発投手としては小休止中だが、好調なバットで打線をけん引した。

 打撃技術と野球センスが凝縮された、珠玉の一打だった。4回無死二塁。大谷が、西武岸の130キロチェンジアップを右前に運んだ。「反応でうまく打てた」。進塁打を意識。“代名詞”の中堅から左、ではなく、バットに角度をつけて引っ張った。仕上げはここからだ。一塁をまわり、加速。「カットに返すような感じでしたし」。右翼・金子侑が本塁へのライン上にいるカットマンへ返球するのを目視し、単打性の打球で二塁を陥れた。

 前回野手出場した22日オリックス戦は、走塁ミスを犯していた。試合序盤にけん制に引っかかってアウト(記録は盗塁死)になると、三塁走者だった中盤には、市川のセーフティースクイズでスタートが遅れ、本塁憤死した。二刀流をこなすため、試合前に走塁練習を行うことはほぼない。出場数も他の野手に比べれば少なく、経験が大きく左右する走塁面でのミスは仕方のない部分もあるが、「実戦の中でしっかりできるようにしていきたい」。試合後は猛省していた。次戦ですぐに、汚名返上の好走塁。栗山監督も「瞬間的に反応するんだろうね。考えるより感じていた」とたたえた。

 2回には右前打、6回にも中前打を放ち、今季3度目の猛打賞を記録した。シーズン3度の猛打賞はプロ最多。13年3月29日、同じ西武プリンスドーム(当時は西武ドーム)で岸から2安打したのが、プロ野球選手としてのスタートだった。「いい投手ですから。1本打てたらラッキーくらいの感じ」。言葉とは裏腹に、この日の3安打で対戦成績は22打数10安打。好投手だからこそ、打席での集中力は増すのかもしれない。

 右手中指の皮がめくれた影響で、投手としては小休止中。24日オリックス戦では、3年ぶりの中継ぎ登板で1イニングを投げたが、指先の感覚が微妙なズレを生じさせ、投球フォームなど技術的な状態は思わしくない。次回先発予定だった31日ソフトバンク戦(札幌ドーム)登板も、見合わせる可能性が高まっている。それでも、打者・大谷の活躍は補ってあまりある。【本間翼】

 ◆日本ハムの猛打賞 今季は12人が記録。最多は、この日34試合ぶりに3安打を放った田中賢の8度。陽岱鋼、中田、レアードが各6度。西川、中島が各5度と続いている。昨年は近藤がチーム最多16度。