マジック減らしもセイヤ、セイヤ、それそれ! 4点差大逆転の劇的勝利は、6回、鈴木誠也外野手(22)が放った反撃の適時打が号砲だった。8回2死では2番手マシソンから左中間席に運ぶ19号ソロで2打点。1点差として、9回2死からの逆転ドラマを呼び込んだ。マジック18。最短9月6日の胴上げまで「神っている」パワーで突っ走る。

 頬を膨らませ一気に息を吐きながら、147キロを打ち砕いた。2点ビハインドの8回。鈴木はマシソンの高め直球に反応した。ほどよく力が抜けたスイングに一瞬つぶされた白球は、きれいな放物線を描いて左翼席に吸い込まれた。1点差に迫る19号ソロで逆転劇の舞台を整えた。

 「積極的にいこうと思った。追い込まれる前に振ろうと。積極的にいけて良かった」

 2打席凡退から、息を吹き返した。6回の第3打席。2死二塁から田口の外角球を中堅前にはじき返し、二塁走者新井を迎え入れた。史上41人目の通算1000得点達成をアシスト。2000安打達成時は2本塁打、300号達成時は長打2本。新井のメモリアルゲームでの強さをこの日も発揮した。

 23日巨人戦まで3試合連続無安打に終わった。2試合は出塁すらできなかった。連続出塁は26試合で止まり「(出塁しないと)何もしていない感じがして自分に腹が立ってしょうがない」。疲労回復のため約8時間とっていた睡眠時間も日に日に短くなった。「攻めが厳しくなるのは、レベルアップしていくために越えていかないといけない。我慢して使ってもらっている、その期待に応えたい」。優勝へ向けて緊迫した試合が続く中で、広島の成長株は確かな成長曲線を描いている。

 鈴木の追い上げ弾に主軸が応え、9回に試合をひっくり返した。優勝へのマジックを2つ減らし、18となった。緒方監督はチームに確かな手応えを口にする。「今日も我々の野球ができた。コツコツと1点を返して、最後の逆転につながった。選手も成長を感じていると思う」。118試合目にして、今季の勝ち越しを決めた広島は強い。そしてこれからも強くなる。【前原淳】