降りやまぬ雨が、巨人マイルズ・マイコラス投手(28)の激しい心を冷ますことはなかった。外国人最多記録となる15連勝をかけ、ぬかるんだマウンドでも感情を前面に出し、奮闘した。雨の影響で2回途中に1時間15分の中断。米国なら再開後の続投はまずない。「これほどの雨の中で投げたことは今までにない」。初体験の状況でも6回2失点にまとめた。

 イライラが止まらなかった。雨もあり、我を失っていた。6回無死一塁。筒香に四球を与えると、捕手小林誠に向かって「グラブをしっかり止めろ!」とジェスチャーで訴えた。試合後には「雑談だよ。家族の話とかだよ」とアメリカンジョークでごまかしたが、強い口調のあまり、思わず尾花投手コーチがベンチから飛び出すほど。何とか2死まで奪うも、倉本に同点適時打を浴びた。後続を切り、最少失点でベンチに戻ったが怒りは収まらない。自らのバットを蹴り、バットで地面を6度もたたいた。ロッカールームに戻る際には、バットを投げつけたほどだった。

 打席でも“マイコラス劇場”だった。3回先頭で空振り三振に倒れると、突然右の太ももでバットを真っ二つに折った。「僕はいい打者だから、バットのせいにしてしまったよ」。試合後は別人のように落ち着き払い、余裕しゃくしゃくの表情で、ローレン夫人と仲良く帰路についた。

 勝敗はつかなかったが、自由奔放なプレーをしても負け投手にはならなかった。昨年から続く連勝記録は継続中。高橋監督も「(悪い)条件は一緒だけど、最善を尽くしてくれた」とうなずいた。今季初の中4日も関係なしの124球熱投で、役割を全うした。【細江純平】