西武菊池が、完投で11勝目を挙げた。自身9連勝で、最後まで1人で投げ抜いた勝利は13年6月12日の中日戦以来。すでに初の2桁勝利もクリアしており、プロ7年目の秋に本格化の兆しを見せている。こちらも初となる規定投球回到達までは残り17イニングと1/3。現状で西武に規定投球回に到達している投手はいないが、球団史上で不在の年はない。菊池は「こだわっている。何とか」と、残りの登板で名門の歴史をつなぐ。

 5回に大量援護をもらった菊池は「『1人で』を意識した」。ロッテは1番荻野。「今日一番良かった。球速以上」の重たい真っすぐを、内角と外角の中央に放り込んだ。2ストライクからつり球を1つ挟んで、「自分の軸」と頼るスライダーをワンバウンドさせ、振らせた。ストライクゾーンを中心に、こんな簡単な攻め手でアウトを重ねることができる。球界屈指の左腕が、持て余してきた能力を結果に結び付けている。

 5併殺。「カーブとチェンジアップも有効に使えた。力への過信があった。投球チャートも、最近見るようになった。俯瞰(ふかん)して考えることができる」。排気量を制御できれば相手を操れる。「全部勝つつもり」。このまま終える。【宮下敬至】