ソフトバンク山川穂高内野手(34)が起死回生の1発を決めた。1点ビハインドで迎えた9回1死から代打出場。カウント1ストライクからの2球目だった。守護神、レイノルズの外角141キロカットボールを強振。打球はぐんぐん伸び、左翼方向への場外ソロとなった。ベンチ前では今季は封印していたはずの“どすこいポーズ”まで披露。一振りで試合を振り出しに戻した。

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山川は現状と向き合った末、あるこだわりを捨てていた。

「その決断に至るまでに『まだ、いける』っていう自分との戦いみたいなのはあった。でも、ある種…ね。こだわりを捨てることも、こだわりだったりする」

シーズン中に商売道具のバットを軽量化した。プロ13年目で初めて。これまでシフトチェンジすることを常に拒んできたスラッガーが変化を求めた。そこには「気分転換」などといった気持ちはない。自らの選手生命を懸けた決心だった。

「僕の中ではすごい決断です。今までのことを全部、捨てるくらいの気持ちで変えたので」

レギュラーシーズンは58試合出場。移籍後ワーストだった。打率1割7分8厘、11本塁打、28打点と低迷。体はどこも悪くないが、本来の打棒は鳴りを潜めた。直球に差し込まれ、変化球に泳がされる。打席での悪循環に陥っていた。不動だったはずの“4番”の居場所もない。立場が厳しくなり、現状を冷静に分析し「年を取って(バットを)振れていないんじゃないか。真っすぐにちょっと差し込まれても、間に合う余裕がほしかったので」と手にする相棒を軽くすることを決めた。

過去に計4度の本塁打王に輝いた主砲も、今年で35歳を迎える。「残りの野球人生、若いころと比べて1年、1年が勝負になる。1打席、1打席がより勝負になる」。危機感を募らせるが、老け込みにはまだまだ早いだろう。もがき苦しみながらも、再起をかける。【佐藤究】

〇…山川は昨年の日本シリーズでMVPに輝いた直後の25年11月1日、「どすこいポーズ」の封印を決めた。

歓喜の日本一からわずか中1日。本拠地ドーム近くの浜辺に向かうとトレーニングを開始。「今までの野球人生で一番練習するので。今日から」と奮起した。

2年連続5度目の本塁打王を目指しながら23本塁打に終わったことを悔いていた。「絶対に今年の自分の成績は許してはいけないという強い決意」といい、西武時代から続けてきたアーチ後のパフォーマンスも「どすこいも、来年はやめます」とキッパリ。「ホームラン打っても喜んではダメ。ゲームセットと言われるまで絶対に集中する」と意図を明かしていた。

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