さらば、番長-。DeNA三浦大輔投手(42)が20日、横浜市内のホテルで会見を行い、今季限りで現役を引退することを発表した。大洋ホエールズ、横浜ベイスターズ、横浜DeNAベイスターズと、横浜一筋を貫いてきた。11年ぶりのAクラス確定を花道にユニホームを脱ぐ。引退登板は本拠地最終戦となる24日の巨人戦(午後2時開始)に先発。プロ25年目でここまで通算172勝を挙げた「ハマの番長」が、プロ野球新記録となる24年連続勝利で有終の美を飾る。

 番長が泣いた。会見の冒頭から30分。三浦が声を詰まらせた。「もうダメかなと思って2軍で1軍の試合をテレビで見てる時でも…」。かちっと決まったリーゼントヘアが傾く。目から涙がこぼれた。「18番のユニホームを着て、応援してくれているファンをテレビで見たら、絶対にあのマウンドに立とうと思って、頑張ってこられました。つらいですけど、また、違うステージでも三浦大輔は頑張っていきますので、そこでも応援していただけたらと思います」。悔しさをバネにはい上がってきた記憶がよみがえった。

 前回登板の16日阪神戦後に球団に決断を伝えた。5回途中2失点で2敗目を喫した。今季初登板となった7月11日の中日戦後から登板がなく「その時にはほぼ気持ちは固まっていた」。一方で、これまで同様に勝負への執着は失わなかった。「もう1度、勝負したいという思いはずっと頭にあった。真剣勝負がしたいと」。去り際は自身の中だけにとどめ、1軍だけを目指した。

 勝負師としての鉄則には逆らえなかった。「勝てなくなったらやめると決めていた」。1年勝負の精神で積み上げてきた。だからこそ、ポリシーに素直に従った。CS進出を決めた19日広島戦後にロッカールームで後輩たちにも伝えた。万年Bクラスからの脱却を成し遂げ「FAで残って、横浜をいいチームにしたいとあのときに思った。小さな力でしたけど、どんどん変わっていくのを見てきてた。本当にうれしく思ってます」。大黒柱として成長させてきたチームと後輩たちに思いを引き継いだ。

 大洋ホエールズのユニホームに袖を通した最後の現役投手が、四半世紀の歴史にケジメをつけた。今後については「特に決めてません。現役は卒業しますが、野球からは卒業しないので、ずっと野球に関わっていきたい」とした。むろん、責務はまだ残されている。引退登板となる24日巨人戦は24年連続勝利の大記録がかかる。その先にはCS、日本シリーズと続く。「1日でも長くユニホームを着て、選手として戦えるようにやっていきたい」。98年以来18年ぶりの日本一を置き土産に番長がマウンドから去る。【為田聡史】

 ◆三浦大輔(みうら・だいすけ)1973年(昭48)12月25日、奈良県生まれ。高田商から91年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入団。97年に10勝3敗、勝率7割6分9厘でリーグ最高勝率。05年最優秀防御率、最多奪三振。昨年、工藤、山本昌と並ぶプロ野球記録の23年連続勝利。オールスター出場6度。04年アテネ五輪代表(銅メダル)。大洋に所属した最後の現役選手。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。家族は夫人と1男1女。