侍ジャパンに「神ってる」パワー注入だ。来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の前哨戦となる11月の強化試合(対メキシコ、オランダ)に、広島鈴木誠也外野手(22)が招集される可能性が23日、高まった。

 WBCで着用する新ユニホームの発表会見が都内で行われ、出席した小久保裕紀監督(44)が、25年ぶりにセ・リーグを制した広島勢の大幅招集を示唆した。強化試合のメンバーは10月中旬に発表される。

 25年ぶりにリーグ制覇した勢いに乗って、広島勢が侍ジャパンを“ジャック”する可能性が出てきた。

 来春WBCに向けた11月の強化試合について、小久保監督は「WBCを見越した選手を集める」と、本番を想定した戦いを挑む方針を示した。その上で、期待する新戦力について、「広島勢の活躍ですね。優勝まで引っ張った野手の若手3人を含めて、非常にいい働きをしているなと見ていました」と言った。

 新戦力候補の1番手に挙がるのは、「神ってる」鈴木だ。これまでトップチームへの招集経験はないが、前半戦終了時に行われた会見では小久保監督が自ら名前を挙げ、「右バッターの外野手が不足している中で、非常にいい活躍をしている」と期待した。

 この日の会見では、具体的な選手名には言及しなかったが、右打ちの外野手は、侍ジャパンの課題に挙がるポイント。昨秋のプレミア12の代表は中日平田だけで、DeNA筒香、ソフトバンク柳田、西武秋山らの常連勢、さらに大リーグではマーリンズ・イチロー、マリナーズ青木らも左打ち。平田は右肩痛のため2軍調整中で、23日までに打率3割3分6厘、28本塁打、94打点の成績を残す鈴木にかかる期待は大きい。

 鈴木に加え、広島の野手勢では田中、菊池、丸らも招集候補に挙がる。代表経験のある丸、鉄壁の守備を誇る菊池の「キクマル」コンビも、選出されれば大きな戦力になりそうだ。

 この日発表された新ユニホームは、従来のストライプ柄をベースに、両袖の表側を過去2度のWBC優勝を表す金色、裏を結束の象徴とする赤で縁取りした。2大会ぶりの優勝に向けて、小久保監督は「あらためて引き締まる思い、責任を感じている」と言った。右の外野手とともに課題に挙がる先発左腕については、「今日(23日)東京ドームで投げる両左腕」と、DeNA石田、巨人田口を新たな代表候補に挙げた。

 日本ハム大谷、ヤクルト山田、巨人坂本らの常連勢に、「神ってる」広島勢などの新戦力をいかに融合させていくか。チームとして最良の形を見極めながら、勝負の来春に向かっていく。【前田祐輔】

 ◆U21W杯での鈴木 14年11月、台湾で行われた21歳以下のW杯に、北條(阪神)近藤(日本ハム)らと出場。主に3番右翼で先発し、22打数11安打7打点、打率5割と活躍。チームは準優勝に終わったが、鈴木は首位打者とベストナイン外野手に選出された。