今秋ドラフト候補の流通経大・生田目翼投手(4年=水戸工)が、約1年ぶりのリーグ戦登板を果たした。昨秋に右肘、今春に右肩を痛めた最速155キロ右腕は、共栄大戦の8回から救援して2回無失点。視察した7球団のスカウトの前で復調をアピールした。

 緊張の40球だった。3-2の8回、生田目が昨年10月3日以来357日ぶりに立った公式戦のマウンドで力んだ。「こんなに緊張して、体が動かなくなると思わなかった」。先頭に四球、次打者に二塁打を浴び、いきなり無死二、三塁。「ピンチになって吹っ切れた」とスイッチが入り、力で後続をねじ伏せた。直球は最速150キロを計測。持ち前の負けん気も前面に押し出し、雄たけびを上げた。

 “4度目の正直”だった。9月2日のオープン戦で実戦復帰したが、リーグ戦開幕から3試合登板はなかった。昨秋痛めた右肘をかばい、今春は右肩に炎症が起きて再離脱。再発だけは避けたかった。周囲の「焦るな」という声を信じ、耐えた。「長引きすぎたとは思うけど、また痛くなって投げられなくなったらつまらない。楽しかったし、気持ちよかった」と笑った。

 スカウト陣も復帰を待ちわびていた。昨春の全日本大学選手権で準優勝に導いた右腕の状態を確かめようと、今秋は毎試合ブルペンを眺めていた。DeNA武居スカウトは「もともと24人(2位以内)に入る力のある投手。これだけ投げられれば十分だし、とにかくボールが強い」と話した。

 ブレークした昨春に公務員志望を明かして周囲を驚かせたが、プロ志望届を23日までに提出した。「次はもっと冷静に、欲を言えば先発で投げたい」。2年春に創価大・田中に投げ勝った剛腕が、ドラフト戦線に戻ってきた。【鹿野雄太】

 ◆生田目翼(なばため・つばさ)1995年(平7)2月19日、茨城・常陸大宮市生まれ。小3から野球を始める。大宮二中では軟式野球部に所属。水戸工では2年秋、3年夏にエースとして県8強。流通経大では1年春に初登板し、3年春にリーグ優勝と大学選手権準優勝に導く。174センチ、82キロ。右投げ右打ち。