秘蔵っ子で、超変革元年の締めくくりへ。阪神のドラフト4位ルーキー望月惇志投手(19)が今季最終戦となる10月1日巨人戦(甲子園)で1軍デビューすることが26日、濃厚となった。当日は虎一筋18年間の福原忍投手(39)が引退試合に臨む予定。先発望月から福原への、20歳差継投もあり得る。スペシャルな伝統の一戦から、期待の最速152キロ右腕がプロの1歩目を踏み出す。

 金本監督の秘蔵っ子が最終戦でベールを脱ぐ。静まり返った鳴尾浜球場に、休日返上でボールを握る望月の姿があった。横田を相手にキャッチボールで球筋を確認。1軍登板の可能性について問われた右腕は「何も聞いていないですけど、気持ちを切らさず、呼んでいただいたらしっかり投げられる準備をするだけです」と、19歳とは思えない冷静な口ぶりだ。

 今月19日巨人戦で登板予定だったが、18日同戦が降雨中止。岩貞のスライド登板により甲子園のマウンドは幻になった。だが、気持ちを切り替え22日ウエスタン・リーグのオリックス戦(鳴尾浜)では、4回1安打無失点と好投(試合は降雨ノーゲーム)。最速152キロの直球で猛アピールした。金本監督はこれまでもシーズン中に鳴尾浜まで足を運び、望月の状態を細かくチェックしてきた。驚きの19歳大トリは指揮官の強い意向もあったとみられる。

 ホーム最終戦は福原の引退試合が予定されている。虎一筋18年のベテランが聖地に別れを告げる。球場全体が独特の雰囲気に包まれることは間違いない。そんな特別な試合で19歳望月から39歳福原へと20歳差のバトンをつなぐ可能性も十分ある。しかも相手は宿敵ジャイアンツだ。高卒1年目がプロ初登板&初先発でG戦白星となれば、球団初の快挙だ。

 4年ぶりBクラスが確定したタイガースだが、若い力が躍動して現在4連勝中。4位ヤクルトに0・5ゲーム差と迫っている。「いろんな方からストレートでしっかりとファウルを取れるようにと言われている。(登板するなら)自分のピッチングをしっかりとしたい」(望月)。虎の将来を明るく照らす。阪神ファンはそんなピッチングを望んでいる。

 ▼阪神にドラフト入団した高卒新人投手で、1軍戦登板を果たしたのは過去10人。2リーグ分立後、ドラフト以前も含め初登板で勝利を挙げた阪神の高卒新人投手は出ていない。望月が勝利投手となれば初の快挙だ。

 ▼阪神のドラフト入団高卒新人投手が巨人戦初登板で勝利を飾ったのは、67年江夏(救援)、13年藤浪(先発)の2人。望月が勝てば3人目となる。

<望月惇志(もちづき・あつし)アラカルト>

 ◆生まれ、球歴、サイズ 1997年(平9)8月2日、神奈川県。横浜創学館からドラフト4位。背番号61。188センチ、84キロ。右投げ右打ち。

 ◆キャンプ 2月の安芸キャンプでは実戦登板なし。久保2軍投手チーフコーチのもと、強化ランニングとウエートを中心に体作り。

 ◆プロデビュー 4月3日、社会人カナフレックスとのプロアマ交流戦(鳴尾浜)で実戦デビュー。2回を無安打に抑える。

 ◆金本監督チェック 4月12日に鳴尾浜でのブルペン投球を、金本監督自ら希望し視察。「望月はものが違う」と絶賛する。

 ◆1軍デビュー流れる 今月19日巨人戦でのデビューが決定。だが、前日18日同戦が降雨中止となり、登板が白紙に。

 ◆肉体改造指令 20日の練習後、金本監督に「17%! 体脂肪率! あれ4%落とせよ」と声をかけられた。