巨人がクライマックスシリーズ(CS)へ、守護神の不振という問題に直面した。沢村拓一投手(28)が1-0の9回に登板したが、1死から4連打と犠飛を集中され、サヨナラ負けを喫した。内海の3年ぶり2ケタ勝利を消してしまい、今季8度目のセーブ機会失敗。現状では配置転換は行わない方針だが、8日からのCSファーストステージDeNA戦(東京ドーム)に向けて1週間での復調が求められる。

 1度、失ったリズムは取り戻せなかった。1点差では致命傷になる。9回1死。沢村は高山の投手強襲の一打を右足に受けて出塁を許した。「(直撃は)問題なかった」。だが直球は真ん中に集まり、フォークは高かった。1死一、三塁から代打福留に左前同点適時打、鳥谷も続き満塁。最後は俊介に中堅に飛球を打たれ、あっという間にサヨナラ負けした。

 チームの勝利、そして7回無失点と好投した内海の3年ぶり2ケタ勝利を消し、顔色を失った。「(重圧は)特に変わらなかった。でも十分に(節目は)分かっていた。何と言っていいのか…。言葉が見つからないです…」。試合直後では整理はつかなかった。

 37セーブを挙げ、自身初の最多セーブのタイトルは確定した。だが8度のセーブ機会失敗のうち4度は勝負の8、9月に集中した。9月14日の中日戦では菅野の2ケタ勝利を死守できなかった。以降は阿部に助言を受け、レッドソックス上原式の深く握るフォークを教わり、緩急差をつけて復調の兆しを見せる試合もあった。だがCS直前の痛打で、また揺らぎ始めた。「最近の(復調の)話ではなく、結果がすべて」と現実と向き合うしかなかった。

 CSへ1週間。勝利の方程式を組み替えるつもりはない。高橋監督は「心配というか、1年この形でやっている」と話した。今季は7回のセットアッパーも不在でマシソンと沢村の2枚でしのいできたが、矢が1本になれば強力DeNA打線を前に不安が残る。沢村は「すべてにレベルが低い。今のポジションを任されているという意味でチームに迷惑をかけている。まだ明日がある。終わってからCSのことを考える」と言葉をつないだ。短期決戦へ残された時間は少ない。【広重竜太郎】