阪神金本知憲監督(48)が5日、大阪市の電鉄本社で坂井信也オーナー(68=電鉄会長)にシーズン終了報告を行った。チームは4年ぶりにBクラス低迷。オーナーは奮闘をねぎらったが、指揮官は「甘えるつもりはない」ときっぱり。外国人やFA、ドラフトで補強は進めるが、育てながら勝つ「超変革」の方針は貫く構えだ。生え抜き中心で優勝した広島をモデルに挙げ、基礎から鍛え上げる。

 坂井オーナーへの今季終了報告で、金本監督はまず4年ぶりのBクラスを謝罪した。「4位に終わったことは自分の力が足らず、申し訳ありませんでした」。オーナーからは「こんな戦力状況で苦労をかけたね」と「優しい言葉」でねぎらいがあったという。だが「甘えるつもりはありません」と引き締め、来季こそ優勝と誓った。

 金本監督 育てながら強くする方針はブレずに、でも今年のような結果にならないように。もっとたくさん勝てるように戦います。

 モデルは今季ぶっちぎりで優勝した赤ヘル軍団だ。この日の会談では広島が強くなった理由について意見交換したという。生え抜きを主力に育て上げ、足りない部分を外国人で補う不変のチーム方針。頂点に立つのは25年ぶりと四半世紀を要したが、金本阪神が進もうとしている道にダブる。

 金本監督 目指すところはそこだと思っているし、オーナーも目指して欲しいと言っていた。いい素材を取ってきて鍛えて育てて…。そのために僕が選ばれたと思う。広島も時間がかかったし、それを1、2年でするのは簡単ではない。でも(勝つためには)広島以上の練習をしないといけない。鍛えないといけない。

 選手金本を一流にした広島の猛練習は球界名物。昼夜を問わない特訓で成長した田中や菊池、丸、鈴木らが、今季の最強打線を引っ張った。年齢的に脂が乗ってくる来季はさらに強敵化する勢い。今季の広島戦は7勝18敗で総得点差は178も開いた。そのチームを倒すには広島以上の猛練習で、広島以上のチームを作るしかない。9日からの秋季練習、29日からの秋季キャンプでは若虎に地獄を見てもらうことを予告した。

 金本監督 秋は基本的に体作り。基礎体力、基礎筋力。1年間戦える体作りをね。技術以前にまず体。その順番でやっていきたい。

 戦力が足りない部分は外国人やFA、ドラフトなどで補強するが、若虎を育てながら勝つ「超変革」の方針は不変。オーナーからは「ブレずに、勝ちながら育てる二兎(にと)を、それもハイスピードで追ってくれ」と来季優勝を期待された。高山や北條、原口、岩貞、青柳らの若虎が芽吹いた手応えもある。猛練習で開花を加速させ、17年こそ広島を倒す。【松井清員】