王手じゃ! セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦。初回、1番田中広輔内野手(27)の二塁打から、2番菊池涼介内野手(26)が送り、3番丸佳浩外野手(27)が2試合連続の先制V打。同学年トリオ「タナキクマル」が3回の2点目も演出し、DeNAに2連勝。アドバンテージの1勝を加え、3勝0敗とし、25年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。

 切り込み隊長が、広島に流れを呼び込んだ。田中は1回にいきなり二塁打で出塁すると、3回は四球を選んだ。いずれも2番菊池がつないで、3番丸が打点を挙げた。締めは再び田中。7回に右翼席へソロをたたき込み、試合を決めた。お祭り騒ぎとなった赤い波が、完全に青い波をのみ込んだ。

 田中 キク(菊池)が絶対つないでくれると思っていますし、キクがつないでくれたら丸が絶対かえしてくれる。シーズン中からそういう流れがあったので、そう信じながら打席に入れています。

 試合前、前日12日の第1戦で右肩付近を負傷したルナの戦線離脱が発表された。加えて前日4番の新井もスタメンから外れた。チーム全体が動揺してもおかしくない状況で、同学年の「タナキクマル」トリオが打線を引っ張った。

 丸 上位を任されている以上、僕たちの成績が結果に直結する。そう思ってプレーしている。

 CSに前回出場した2年前は、菊池と2人で16打数1安打と沈黙。ファーストステージ敗退につながった。だが、今季は田中が加わり、コンビがトリオとなった。入団年はいずれも違うが、同学年の3人は固い絆で結ばれている。「今日は田中でしょう。田中君。すべて田中君です。回の先頭打者には『勇気(をチームに与えろ)』と言っているが、勇気を与える出塁だった」と丸。2試合で6打数5安打、7出塁で5得点。好走塁ありと大暴れする田中が好循環を生んでいる。

 打線の支柱がチームに落ち着きを与え、連勝でCS突破に王手をかけた。緒方監督は「打つ方は1、2、3番でしょう。広輔が先頭打者の役割、そして最後のダメ押しの3点目の本塁打。あれは大きかった。一気に勝ちを引き寄せる一打だった」とたたえた。田中は「明日で決めたい」と胸を張る。このまま一気に突っ走る。【前原淳】

 ▼丸が先制打と犠飛で2打点。第1戦でもV打となる先制打を放っており、同一シーズンのプレーオフ、CSで2試合連続V打点は82年第1戦、第2戦大田(西武)、15年第1戦~第3戦内川(ソフトバンク=3試合連続)に次いで3人目。セ・リーグでは初めてだ。

 ▼第1戦で3安打、2得点の田中が第2戦では2安打、3得点。2試合で5得点は07年1S第1戦、第2戦福浦(ロッテ)に次いでプレーオフ、CS史上2人目だ。田中のCS出場は14年に次いで2度目だが、打撃結果を出すと、14年第1戦四球、第2戦右安、16年第1戦左2、四球、投安、右2、第2戦右2、四球、二ゴ、右本。7打数6安打、3四球と、10打席のうち9度出塁している。