2年ぶりにハマスタにやってきた。少しばかり肌寒く感じる夜風も同じだ。ソフトバンク王貞治球団会長(86)は「あの時」を思い出しながら、悔しさがこみ上げてきたようだった。
「2年前はね、こっちで2つ勝って、本拠地で3連敗だろ。そのまま負けちゃったんだったよな。倍返しをしないとね。今でも信じられないよ!」
語気は強かった。小久保ホークスとなってリーグ初制覇を飾り、CSファイナルも突破。チームにとって5年ぶりに駒を進めた日本シリーズで、2連勝後の4連敗。DeNAにまさかの逆転負けを喫した。チームも忘れていないが、王会長はもっと悔しさを包含していたのかもしれない。
打撃練習が始まると、グラウンドに立った。本拠地ドームでもなかなかグラウンドに立つことはなくなったが、大好きな打球音に気持ちも勇んだ。ティー打撃を行っている山川のもとへ足を運ぶと、なにやら打撃談議。豪快にスタンドインする打球を見やっては山川に拍手を送った。「山川も力みなく打てばね。今日はよかったんじゃないかな」。敵地ではDHがない。出番も「代打」の一振りに限られる山川だが、ゲームを左右する1発の魅力は大きい。今季は不振に陥り試行錯誤を繰り返した「大砲」のシリーズ復活は王会長にとっても気になるところだった。昨年、阪神との日本シリーズでは3本塁打を放ってMVPに輝いた男だけに、キーマンの1人に捉えているのかもしれない。
野球は投手、と言い切る王会長だが、打ち勝たないことには勝利は飾れない。リーグ3位からCSは破竹の6連勝。強力打線で勝ち上がってきたDeNAに負けるつもりはない。「ウチは(打線も投手も)両方とも上だと思っているから、その気になって、やらないと。チームも絶対に負けられないという気持ちで臨んでいるでしょうしね」とうなずいた。
王会長はグラウンドコートを着込み、最後まで練習を見守った。雪辱のシリーズへ-。86歳の気持ちも高鳴っている。




