次々と選手たちが倒れ込んだ。V逸したソフトバンクの地獄の宮崎秋季キャンプがスタートした。メーン球場で最後に行われた特打。参加した6人のうち牧原、斐紹、釜元、黒瀬の4人が足や脇腹をつり、倒れた。1年目の黒瀬は「ヤバイ、ヤバイ。6度くらいつりました」と苦笑い。残った上林、拓也の2人も倒れはしなかったが、太ももなどがつっていた。6人全員全滅の状態ながら、再度立ち上がり2時間、工藤監督のカツをくらいながら1人約1000球を打ち込んだ。黒瀬らはさらにその後、室内でマシン打撃を行った。

 昭和のスポ根ドラマのような異様な光景は、その前に課したランニングが要因だった。100メートルを15秒でダッシュし、45秒かけて戻る。それを10本1セットで4セット行った。その時点で育成の樋越は両足がつって完走できず。侍ジャパンメンバーの千賀、武田も容赦なく走らせた。繰り返し行うことで回復力を体に覚え込ませるためだ。

 その後の投手練習ではスクワット中に、加治屋がなぜか鼻血を出すハプニングもあった。工藤監督は「よくつってたね。みんな充実感はあると思う。このペースでいくとどこまで持つか、となるので考えます。足がつるのはケガではないし悪いことではない。初日としては十分。明日、みんな朝出てこれるかな」とちょっぴり心配しながらも、ニヤリと話した。

 今日30日の2日目には200メートルを20本のメニューが待つ。最大で1日7キロ走らせる予定。左足をつった牧原は「プロに入って一番きついキャンプ。でも、強くなれそう」と笑った。工藤監督の思いはナインにしっかり届いている。【石橋隆雄】