プレーバック日刊スポーツ! 過去の11月24日付紙面を振り返ります。1991年の5面(東京版)は、阪神がたけし軍団に敗れるでした。

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 セ最下位のトラ軍団は、たけし軍団にも勝てなかった!

 阪神ファン感謝デーが23日、甲子園球場で行われ、そのイベントの一つとして芸能界の強豪たけし軍団と対戦した。軟式ボールということもあり八木、金森らを並べた打線は沈黙。2点を奪うのがやっとで、最終回には2ランスクイズなどで4点を失い逆転負けした。2万4000人を前に、シーズン後もダメトラを披露してしまった。なおこの日は、ヤクルト、巨人、中日、近鉄もファン感謝デーを行った。

 「たとえ余興でも負けてはいけませんね」。三好球団社長がこう言って苦笑すれば、沢田球団代表は力なく「シャレになりませんな」。ファンサービスのつもりで試合を延長したのだが、思いもかけぬ悲劇? を招いた。

 当初は5回で終わる予定だった。それが1点を争う好試合となってハイテンポで進み時間に余裕ができた。そこでもう1イニング追加したところ、たけし軍団の猛反撃が始まった。

 6回からリリーフした榊原内野守備コーチがメロメロ。1死一、二塁からノーカット星が左越えにエンタイトル二塁打を放って、まず1点。さらに二、三塁。ここで井手らっきょがスクイズ。三塁走者はもちろん、二塁走者・ノーカット星も好走塁でホームイン。一塁手・横谷の守備がまずく、結局2ランスクイズで逆転されてしまった。

 「まさかスクイズをしてくるなんて思いもしなかった」と横谷。秋季安芸キャンプで一体何を練習していたのだ、と疑いたくなる拙守。たけし軍団は大騒ぎだ。

 中村監督は「みなさん、うまいですね。学ぶ点もあります。来年の秘策として取っておきます」と敗戦も意に介していないようだが、実はベンチでは憤然。「見事に2ランスクイズを決められたときはさすがに監督も怒ってました」とある選手は打ち明ける。予定の5回なら、1-0で勝っていた、などととても弁解はできない。遊びだから、というムードもなかった。

 初対決、甲子園のマウンドとあって、たけし軍団は総帥たけしが先発した。「どうしても投げたい」とノーギャラの登板は、3回を2安打に抑え、真剣な投球でトラ打線を牛耳った。また、3回裏には危険投球をめぐる乱闘劇を演出。井手らっきょが宮沢りえに負けじと? 自慢の裸体を見せるシーンも飛び出した。たけし軍団も阪神に負けじとファンサービスを行った上での逆転勝利だ。

 笑いが止まらないのは当然。一方で、「阪神さんはマジでショックやろな」と同情する。たけしも得意満面で「阪神より強いオレらは12位。阪神は13位だな」と言いたい放題だった。息子に甲子園という名前を付けるほどトラ党のダンカンは「25年間オレはどんなチームを応援してきたんだ」と情けなさを感じたという。哀れ阪神。草野球チームになめられてしまった。

◇顔引きつる関川

 たけし軍団に2ランスクイズを決められた阪神。マスクをかぶった関川は「スクイズもあるかもしれませんからね、と(投手の)榊原さんに言ったんですが……。もちろん走者が走ってくるのが見えたから、一塁にもホームと言ったんですよ」と、さすがに渋い表情。「まあ、花を持たせてやろうということで」とは言うものの、表情は引きつっていた。

※記録と表記は当時のもの