岡山・倉敷で行われている楽天秋季キャンプは、8日に第2クールが終了し、今日10日から第3クールがスタートする。若手で構成されたメンバーのなかで際立つのが、ルーキー足立祐一捕手(27)の奮闘だ。連日過酷なメニューをこなし、梨田昌孝監督(63)が第1、第2クールのMVPに挙げるほど鍛え抜かれている。正捕手・嶋基宏捕手(31)を脅かす存在になるべく、レベルアップを図る。

 「体、バキバキっす。ずっとバキバキです」。全身の筋肉に張りを抱えながらも、足立は充実したキャンプを過ごしている。全体メニューの他、下半身のフットワークを重視したスローイング、ゴロ捕球などの補強練習を日が暮れるまで反復する。「こんなに練習するのは野球人生で初めて。体はしんどいですけど『練習しているな』という充実感はあります」と、自らの成長を実感する。

 練習量は梨田監督も認めるほどだ。「今、選手のなかで一番しんどいのが足立。相当ハードなメニューをこなしているんじゃないかな」。第1、第2クールの「MVP」に挙げるほど足立に期待を寄せ「フィジカル強化は秋にしかできない。来年の自主トレ、春のキャンプへ向け、できる限り追い込んでやってもらう」と、“英才教育”を施す。

 来季の正捕手奪取へ、課題も減らしていく。今季、嶋に次ぐ73試合に出場し、チームトップの盗塁阻止率3割6厘など、守備でのアピールには成功した。一方で、打率は2割2分7厘だった。足立は「率は低いけど、少しは結果を出せた」と、手応えを抱くが「打てる捕手」の実現へ、軸足を安定させた打撃フォームを確立させている。正捕手を狙う足立だが「嶋さんを抜く、とかではなく、毎日足りないところを補い、向上させていく。トータルで実力を評価してもらいたい」と、謙虚に上を目指す。

 梨田監督の訓示も、足立の背中を押す。「今やっていることは、年を取った時に意味がわかる。だから頑張りなさい」。現役時代、名捕手と呼ばれた同監督からの言葉を受け、27歳のルーキーは「キャンプで監督からいただいたアドバイスをどう落とし込むか? それが大事になる。後々の野球人生に生かしていきたい」と言葉に力を込める。

 過酷な秋はまだ続く。それを乗り越えたとき、足立は捕手として新境地を切り開くはずだ。【田口元義】