今季限りで現役を引退した広島黒田博樹投手(41)が22日、後輩野村祐輔投手(27)にエース道を説いた。広島・東広島市のゴルフ場で行われたバッテリー会ゴルフに参加。優勝パレード以来、17日ぶりに公の場に現れた表情は終始穏やかだった。ただ助言を求めてきた同組の野村には、来季チームを引っ張る期待を寄せた。

 「彼(野村)が中心となっていかないといけない。福井とか年が近い投手と力を合わせてやっていってもらいたい」

 野村は今季、16勝3敗で最多勝と最高勝率などのタイトルを獲得。25年ぶりリーグ優勝の立役者の1人だが、黒田は野村の真価が問われるのは来季以降と考える。「継続することがプロとして一番大事なこと。1年や2年、隔年など、間が空くと過去の実績が無駄になる。しんどいことかもしれないけど、ある程度計算できる投手にならないといけない」。現役最終年まで7年連続2桁勝利を挙げたレジェンドの言葉は重い。

 ラウンド中には、野村からアドバイスを求められる場面もあった。復帰した昨季から、2人は師弟関係のようだった。今季の飛躍を認めながらも、さらなる成長を期待する。「キャリアハイの成績だったと思うけど、常に今年以上の成績を残そうと準備しないと、このような成績は残せない。(来季)キャリアハイの結果を残せなくても、練習1つ、投球1球が変わってくる」。黒田が野村に託した言葉は、広島ナインへの最後の伝言だったのかもしれない。【前原淳】